第11話
殺めたあとはわりと冷静でいられたと思う。
世間が寝静まった深夜――…
部屋に戻ったあたしは着替えを済ませ、ちいさなボストンバッグに必要な荷物だけを詰めた。
洋服や下着なんかは落ち着いたら買えばいい。大きな荷物は邪魔なだけだし、それだけ人目にもつく。今は財布にスマホ、最低限の着替えがあれば十分だろう。
まだだいぶ余裕を残したバッグを閉めようとすると、ふと部屋のドアがコンコンと叩かれた。
「終わった?」
「お兄ちゃん」
バッグのファスナーを閉めて立ち上がる。あたしがドアを開けに行くより先に、兄がドアを開けるほうが早かった。
「うん、終わったよ」
住宅街の夜は静かだ。寝静まった世間を起こさないように、豆電球しか点けていなかった部屋に廊下からの明かりが混ざると、ふと兄の目がバッグへと向けられる。
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