第7話

当初の計画では二人でやるつもりだった。


何度も話し合った末の計画だった。


兄は最後まであたしが加わることに反対したが、でもあたしの意思が変わらないってことが分かると、渋々計画に加わることを許してくれた。その意思は父を前にしても変わらない。



それに、だ


兄ひとりに、罪を背負わせるわけにはいかない。




「…やっぱりダメ。あたしもやる。あたしがやらなきゃ、意味がないもの」


「朱里…」


「大丈夫。覚悟なら決まってる」




兄の目をまっすぐに見つめる。兄はまだ何か言いたそうな顔をしていたが、やがて諦めたように息を吐いた。




「ガムテープ持ってきて」




踵を返した兄が静かにリビングを出ていく。


だからあたしもキッチンの隅にあらかじめ用意してあったガムテープを手にし、兄の後を追った。


父の身体は、着々と死へと近づいている。

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