第6話
『…兄妹なのに、なんでこうも違うのかねぇ』
まぁ…
血の繋がりなんて、ないんだけど。
12歳のときだっけ?
母親が知らない男の人と、当時13歳だったあま兄をこのアパートに連れてきたのは。
[里菜子。あたしね?この人と結婚するの。]
[里菜子の父親と、お兄さんになる人よ?雨音君、って言うんですって。]
[仲良くしてね。里菜子。]
…雨音君、って言うんですって。
夜の仕事を終えたあとなのか、それともこの父親になる男のためなのか。
母親は派手な化粧とキツすぎる香水をまといながら、興味なさげにそう告げた。
その知らない男――…、
二人目の父親になるであろう人にも、ろくな会話もないままに"父親"を名乗られ。
しかも、両親だった人たちは、まだ小学生と中学生だったあたしたちを残し、結婚と同時に姿を消してしまったのだ。
小学生と中学生の子供を捨ててまで、母は新婚生活を味わいたかったんだろうか?
…まぁ
それも今となってはどうでもいいことだけど。
『こーら。いい加減、起きなってばっ』
今はこの超低血圧人間を起こすことのほうが大事だ。
布団の盛り上がりを大きく揺らし、大きな声であま兄の名前を呼んだ。
途端、「…ん。」と呻り、鬱陶しそうに寝返りをうつ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます