第3話
外に出たあたしは、まずはスーパーへ向かった。
夕食を作り、次に兄貴を起こさなくちゃならない。
頭の中で指を折り、やらなくちゃいけないことをひとつひとつ整理しながら、簡単な食材をカゴの中に放り込んでいく。
[兄貴、起こさないといけないもの。]
[兄貴?]
そう。
別にベッドに入ることを拒んでついた嘘ではない。
兄貴――…
あま兄は夜型だから、おまけに"超"がつくほどの低血圧人間だから。
だからあたしが起こさない限り、何時間も、何十時間も寝続けてしまうような人間なのだ。
目覚まし時計。
それが、あたしの役目。
『あま兄ぃー?』
たぶん起きているとは思わなかったため、なるべく物音を立てないように玄関のドアを開けた。
小さな声でも部屋中に響いてしまいそうなほどの、狭いアパート。
その古びたアパートに、あたしたちは小学6年生の頃から二人だけで住んでいる。
いや、あま兄は学年が一つ上だったけど。
とにかく、二人暮らしを初めてもう5年になるのだ。
『寝てる、か。』
薄暗くなったリビングに明かりを灯し、先に夕食の支度をしちゃおうと、買ってきた食材を広げた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます