第20話
彼女の飛びそうになる意識を舌と唇を使って何度も引き戻す。
無駄にデカい、このクイーンサイズのベッドと引き換えに。
俺の下で身をよじる双葉サンを満足させるためだけに。
『…気持ちいい?』
そっと髪を梳き、あらわになった額に唇を寄せる。
そこに先程までの強気な表情はなく、凛とした雰囲気はただの女へと成り下がっていた。
彼女はオレンジ色に揺れる瞳をまぶたの裏側に隠すと、「姉さんに知れたら殴られるわね…」そう小さく呟いた。
唇がまた甘い吐息を漏らす。
『別に、殴られてもいいんじゃない?』
「…あら、どうして?」
『そしたら生き返る。』
もう絶対にまぶたを開けようとしない母親が。
天真爛漫で、無茶苦茶で、でも夜になれば必ず温めにきてくれてた母親が。
そんな俺の発言を不思議に思ったのか、彼女は閉じていた目を驚いたように見開くと、「ずいぶんと意外なこというのね。」そう言って、小さく笑った。
「もしかして、お母さん子?」
『や、別にそんなんじゃないけど…』
「けど…?」
首を傾げ、不思議そうに俺を見上げる。
『…ただ、リナが悲しまなくてすむかな。って…』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます