第7話

里菜子と兄妹になったのは、俺が13のとき。


父親がやけに派手な女を家に連れてきたな。そう思った次の日には、もうすでにこいつが新しい母親だと告げられていた。



母と離婚して以来、父が何人もの女と関係を持っていたのは知っていたが、でもこんな風に紹介されたのは初めてだった。





[雨音。この人がお前の新しい母さんになる人だ。]




まるでドラマを見ているような1コマに、この状況がやけに他人事のように思えたのを覚えてる。


学校を終え、オレンジ色に染まり始めるリビングで、何気なくテレビを眺めていたとき。



突然、帰ってきた父は女の肩を抱いていて、それににっこりと微笑んだ女は、やけに事務的な口調で[よろしくね。]と告げたのだ。





[明日、里菜子ちゃんにも会いにいくから。]



[…りなこ…?]



[雨音くんの妹になる子よ。]




首を傾げた俺に、女は補足するように言う。


"妹になる"というあたり、おそらくこの女の連れ子だろう。





[…ふぅん。]




仲良くしてやってね?


女のグロスののった唇がにっこりと孤を描く。



正直、この女のいやらしく歪む唇は気持ち悪いと思った。




ただ、"妹"って存在に、俺の一部がほんの少しだけ反応した気がした。

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