第5話
ここは、母親の実家だ。
母が死んですぐ、病院から報せを受けた俺は、無理を承知で葬儀と通夜に参列させてもらったのだ。
もちろんそこに父の姿はなく、俺自身もカケオチした二人のガキとあってか、特に俺に対する祖父母の視線は目に見えて心地の悪いものだった。
まぁ、それくらいのことは最初から予想がついたから別にいいんだけど。
でも、途切れ途切れだった記憶は一本の長い糸へと繋がって、見たくなかった現実を容赦なく突きつけてくるのには耐えられそうにない。
『…死んだ…、』
自分の着ている真っ黒なスーツを見つめながら。
まるで他人事のように。
ボソリ…と呟いた瞬間、真っ暗だった部屋には一本の光りの筋が舞い込んだ。
「…、いた。あま兄…」
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