第4話

「クラスの中でも人気者だったから、彼」


「香澄が好きになったくらいだしね」


「どういう意味?」


「ほら、香澄って結構淡白だから」


「何それ」




あたしだって人並みに恋をしたりする。


圭吾とだって愛を誓った。


誰かを好きになることがめずらしいというなら、あたしに愛を誓わせた圭吾はどれだけ凄いのだろう。




「人を好きになれなかったら、結婚なんてしないよ」


「じゃあ俺と結婚した香澄は俺が好きってわけだ?」


「……、」


「無言は肯定と捉えてもいいのかな?」


「…分かってるくせに」




なんとなく自惚れのような気もするが、でも圭吾が嬉しそうにしているため、あえて何も言わなかった。


もしかしたらあたしの思考を読んでるのかもしれない。


今日だって一緒に着いていくと言ったのは圭吾の方だ。


ちゃんと挨拶がしたいと、夏海の死を慈しむように言ってくれた。

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