第5話
温もりの残る毛布に隠れ、朝日から逃れるように交わすキスは結構好きだった。
仕事へ行くまでの時間、ゆるゆると流れゆく時を過ごすのは心地いい。
素肌を撫でるシーツの感触も、たまに力強く抱きすくめてくれる腕も、なにもかもが優しさと木漏れ日に溢れていた。
あたしは彼が好きだ。
彼のくれる、キスが好きだ。
その唇に触れられると、その力強い腕に抱きしめられると、あたしの脳はどろどろに溶かされたみたいに何も考えられなくなってしまう。
どうしよもなくなってしまう。
「考え事?」
彼は背中に回した腕を緩めながら言う。
それでも抱えた身体を解放してくれる気はないらしく、彼はゆったりとした動きであたしの顔を覗き込んできた。
どうやら彼もまどろみの中を彷徨っている最中らしい。
いつもはキリッと吊り上がった目が、今日はまだ眠たそうだ。
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