じゅーきゅ

ミチシルベ

第32話

「寒い…」




僕はそう呟き、また歩き出す


歩きなれた通学路を一人でてくてくと歩く


今日は霧が濃い


10mも先は霧で真っ白く染まり、ほぼ何も見えないくらいだった


何となくで携帯を見てみるとまだ7時半過ぎ


急がなくとも余裕で着く時間だ


ポケットに手と一緒に携帯も突っ込み、マフラーに口元を隠して歩く


何mか歩くと、髪が目に掛かった


僕の髪は天然で、今日も朝から髪の毛と大格闘してまっすぐになるようにセットしてきたのだが、霧の湿気でやられた様だ


前髪はくるりとはねてしまっていた


僕は1つため息を吐きつつ、前髪を手櫛で整える


黙々と歩き続け、そろそろ学校に着いても良いくらいだ


だが、それらしき建物は見当たらない


一瞬、道を間違えたか? と、疑問に思ったがそんなはずはない


学校への通学路は、ほぼ道のりに歩いて行けば着く


不思議に思い、携帯を取り出して時間を見て、僕の歩みは自然と止まっていた


まだ7時半過ぎだった


これはおかしい


僕の家から学校までは歩いて約20分かかる


家を出たときは7時26分で、こんなにも歩いたのにまだ7時半過ぎで学校にも着かない


それに、携帯の時間が1分も進んでいなかったのだ

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