第31話

そしてそこで1つ、ぐぅぅぅぅ~ と、大きな音がディックの腹から鳴った




「!!!」




それに赤面するディック


そしてため息を吐いたアリョーシャ




「………自己主張の強いお方ですね…


おいで下さい


こちらにご飯がありますよ」


「……!!


良いの!?」




土下座からガバッと頭を上げてこれでもかという程に目をキラキラさせて食いつくディック


アリョーシャは呆れて笑った




「よろしいですよ


だから今から案内すると言っているのです


要らないのならずっとそこで這いつくばっていて下さい?」


「行きます行きます!


ついて行かせて下さい!!」




慌ててガシャガシャと鎧を鳴らして立ち上がるディック


立ち上がった処でまたフラリと揺れた


今度はそのまま倒れるのをただ見ているのではなく、

倒れる前に手を貸したアリョーシャ




「ぁ……、ありがとうございます」


「……重いので早く1人で立てる様になって下さい


…行きますよ」




手を貸したまま歩き出したアリョーシャ


彼は早々にディックから顔を背けたが、彼の頬は少し朱かった


それに気付いた者は居ない




「ありがとうございます


お願いします!」




ディックは素直にアリョーシャに甘えた


2人は教会を出て、2人の姿は見えなくなった

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