じゅーろく

1番

第28話

帰り道


頭が良くて、スポーツも出来て、文武両道で、貌(カオ)も良く、

何だって涼しい顔で全てを1位でかっさらって行く君は呟いた


1番になりたい と


勉学でも、スポーツでも、1番をとった君は一体他に何の1番が欲しいの?


僕はただ、純然なる疑問をそのまま君に投げつけた




「…お前の1番になりたい」




僅かに頬を染めて言った君に、僕は首を傾げた




「僕の1番の友達は君だよ?」




そう告げると、君は頭を左右に振った




「…違うよ


確かにそういう意味では1番なのかもしれないけれど、俺はお前に好きになって欲しい」




また首を傾げる事になった




「僕は君の事好きだよ


そうでなければ一緒には居ないし、話す事もなかっただろう


それに何の不満があるの?」




君の瞳を見て尋ねると、何故かため息を吐かれた




「…そういう意味じゃないんだ……


俺はお前が好きだよ


恋愛的な意味で」




そこで僕の歩みと共に思考も止まった




「………ごめん、もう1回言って貰えないかな?」


「俺はお前の事、恋愛的な意味で好きだと言ったんだ


現実逃避するな」


「………ごめん、僕そういう目で君の事見た事がない」


「知ってる


だから、お前も知っとけ


俺がどういう想いでお前を見て、笑って、喋って、感じているのか」




君の真っ直ぐな、それでいて綺麗な瞳を見て、これはただの面白半分やふざけて言っている訳ではないと、理解する




「……わ…かった……」




ぽつりと押し出された言葉に、君の頬が緩んだ




「ありがとう…


理解して貰えて嬉しいよ」




優しい声と瞳で君がそう囁く様に言うから、僕の頬が少し朱くなった




「………だからといって、僕が君に恋愛感情を抱く訳ではないからね?」




小さな抵抗にそう言ったのに、君は嬉しそうに微笑んだ


もう、どうすれば良いのか判らなかった

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