第26話

モゴモゴと言い籠りながら幼女(魔王 仮)は身体をモジモジさせた




「何モジモジしてんだよ?


気持ち悪ぃ」




冷たい視線を幼女(魔王 仮)に向ける彼(勇者←)




「う、うるさいっ


ていうか、それはわしの鍋じゃ!


何故我が物顔でそれを食しておるのだっ!」


「………チッ


良いじゃねぇかよ


美味いんだし」


「む……、ぅ…うむ………」




幼女(魔王 仮)はまた頬を染めて、彼(勇者←)の横に座った




「じゃっ…」


「「いただきます」」




2人一緒に手を併せて言った


と同時に伸びる手と箸


この後はある意味戦争だった




「あっ!


こらっ、それはわしの肉じゃ!」


「肉に名前なんて書かれてねーけどなー


うめぇーっ」


「…ぐっ


このっ」


「あっ、テメ、やりやがったな!」


「仕返しじゃ」




こんな平和な戦争の後、のんびりしていた時に彼は思い出した



自分が勇者で、魔王を殺しに来た事を



幼女を横目に見て、密かにため息を吐いた




「………おい幼女」


「幼女ではない」


「……お前は人を襲いに来るのか?」




彼の不躾な疑問に、幼女は一瞬目を伏せ、応えた




「………別にそんなつもりなど微塵もない


ただ人間共が勝手恐れ、攻撃しておるだけだ


わしに危害が及ばんのであれば、わしは攻撃するつもりはない」


「………そうか……


……じゃぁな」




そう言って、彼は立ち上がるとクルリと幼女に背を向けた




「…………お主は… 勇者 というやつじゃろ?


……何故わしを殺さん…?」


「…何だ?


死にてぇなら今にもその首、胴体とおさらばさせてやんぜ?」




顔だけを幼女に向け、悪どい笑みを見せ付ける

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