第22話

痛みに耐えきれずにそう叫ぶ様に言えば、兄ちゃんはやっと力を緩めてくれた




「ううぅー…


痛かったぁー…」


「自業自得だ馬鹿


ほら、薬」


「……ん、」




薬と水を渡されたので、しょうがなく飲む




「うぅ、苦い…」


「当たり前だ馬鹿


じゃぁ、俺は部屋に行くから何かあったら呼べよ」




そう言って立ち去ろうとする兄の服をつい、引っ張ってしまった


それに振り返る兄ちゃん




「…何?」


「あ……


うーうん、何でもない」





1人じゃ寂しいから一緒に居て などと恥ずかしくなって、言えなかった




「………あっそ


じゃぁ、俺鍋とか片付けてくるからまたな」




そう言ってお盆を持って部屋を出て行った


部屋に1人、寂しくなった


だからといってベッドを抜け出そうものなら兄ちゃんにどやされそうだから止めておいたが


1人でしょんぼりしていたら、兄ちゃんが部屋に入ってきた




「…兄ちゃん?


どうしたの」


「あ?


別に?


三春が寂しそうだったから来てやったんだよ」




ニヤリと意地悪く笑う兄に見破られた事に恥ずかしくなって、顔に羞恥の熱が集まる




「そっ、そんな事ないし!」


「あー、はいはい


分かったからはよ寝ろ」


「うぅ……、フンッ」




恥ずかしくてそっぽを向いて布団を被り直したが、兄ちゃんが優しい手つきで頭を撫でるものだから眠くなってしまった




「……おやすみ」




兄ちゃんの優しい声が聞こえた後に、俺の意識は途切れた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る