第15話

そしてそれ以来、1度も外へ出られなくて早5年



ずっと彼を忘れられなかった


ずっと彼に会いたかった


ずっと彼と喋りたかった



でもそれはまだ叶わぬまま


悪戯に時間だけが過ぎて行った



会いたい


会いたい


逢いたい



強く想う心とは裏腹に、何も出来ずに過ぎていく日々



怖かった


あなたを忘れてしまわないか


怖かった


あなたが私を忘れてしまわないか



たった1度だけ、ちょこっと話しただけなのに

私はいつの間にか、彼に恋をしていた


最初は全く気付きもしなかったけど、今なら判る


私は出会ったその瞬間から彼に恋をしていたのだ




だから忘れられなくて


こんなにも愛おしい




窓の外を見詰めて、彼の名前を呟く


アォォーーーン


何処かから、狼の遠吠えが聞こえた


私にはそれが彼の声に聞こえた 気がした………

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