第9話

「………うん…


こちらこそ、聴いてくれてありがとう」




………、ちゃんと、笑えたかなぁ…?




僕は、それだけを言い残して、彼から逃げた


これ以上は彼の前で、泣かないでいられる自信がなかった


だから逃げた


彼に僕の事に対して負い目など、感じて欲しくなかったから



なんていう、カッコイイ理由なんかじゃない


ただ


彼の目の前で、無様な自分を魅せたくなかったからだ






それから1週間程経って、僕は風の噂で聞いた


彼が意中の人と結ばれた事を


そして


彼がその意中の人と仲睦まじく歩いている処を 見た




嗚呼、貴方に告白して、本当に良かった




そう思った




この恋は無駄じゃなかったのだと


強く、思った

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