よん
こわいひと かわいいひと
第4話
「怖い」
と、誰かに言われた
「なんで?」
と、訊くと、その人は
「いつも眉間に皺が寄ってるから」
そう、応えた
それは、いつの日か
遠い昔の事
今日は高校生初日
入学式は一応出席したが退屈だった為、記憶はない
つまり、寝ていた
だから、クラスメートetc.とかと、ちゃんと喋ったりするのは今日が初めてとなる
そんな今日もいつもと相も変わらず盛大に眉間に皺が寄っている
別に、何か怒っているとか、嫌な事があったとか、そんな事はない
だが、そんな俺はとても周りに馴染めていないだろうし、避けられるか、遠巻きに見られるだけ
でも、それもしょうがないかと、自分でも納得していたりする
186㎝という長身に、眉間に寄っている皺
地毛だが明るい茶髪に、既に着崩されている制服
誰がどう見ても、ガラの悪い奴にしか見えないだろう
そんな事、とっくの昔から知っているが、どうにかしようとは思わなかった
眉間に皺が寄っているのは、もうクセとしか言い様がないし、
一応コーソクにも髪を染めるなと書いてあるのだから、黒染めしたらコーソク違反になってしまうだろう
ていう、言い訳
ていうか、屁理屈?
だから、俺はこれを変える気は毛頭ない
例え、誰が何と言おうとも
そんな事をつらつらと何の取り留めのない事を思考しながら歩いていたら教室についた
何の戸惑いもなく勢い良くドアを開けるとこちらに向く視線
反応は、ほぼ想像通りのものだった
自分は関係ないと直ぐに視線を戻す者
関わり合いたくないと、瞬時に目を反らした者
興味津々にこちらを見てくる者
大体が、この3つのどれかだった
俺は自分の席を前の張り紙で確認し、座る
席は窓際の真ん中
ぶっちゃけ微妙な位置だが、窓際だからまぁいいかと自己完結する
何をするでもなく、音楽を聞きながら窓の外を見ていたら、誰かに肩を2回叩かれた
何? という思いを込めて、相手を見遣る
ついでにイヤホンも片方だけ外しておく
程好く焼けた小麦色の肌に黒髪短髪の爽やかそうな
そう、サッカー部のエースみたいな奴 と言えば分かりやすいだろうか
そんな奴が俺に何の用だと、心の中で訝しむ
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