さん

平凡君

第3話

僕を一言で表すと “平凡”


容姿も 頭も 育ちも


何をしても 何を言っても 何もかも


総てが 須らく(スベカラク) 何をとっても平凡で 凡庸 なのである




それが 僕 であり


僕 を表す 総て である




そんな僕が初めて、今日は平凡から1つだけ外れた


平凡 な僕は普通に恋愛して、

結婚適齢期くらいに結婚して奥さんを持ち、

平凡にサラリーマンなどになり、

平凡に幸せな一生を送るのだろうと

漠然とそう思っていた




だが




僕は今日、 彼 に 恋 をした


そう、 “彼” に、だ


僕が恋した相手は 男 である



最初はなかなか自分でも受け入れられなかった


男 に恋をしてしまっただなんて


しかも、同じクラスの人気者の彼


サッカー部のエースで爽やかな好青年


皆に優しく、男女共に人気が高い



例え、もし僕が女の子だったとしても手が届かないであろう相手だ


そんな平凡とは程遠い彼に、僕は恋をした




最初は彼の総てに憧れていた


彼の様な 特別 を1つでも良いから持ってみたい と




だが、その憧憬(ドウケイ)がいつしか恋心へと変わっていた


そのキッカケが 何 だったかなんてもう憶えてなどいないのだけれど


僕の初恋は彼だ




身を焦がす様なこの想いは、決して嘘偽りなどない


僕は彼が好きだ






でも


彼の総てを望んだりは




しない




告白なんてしてしまったら、もう僕は生きていけないだろう


男から告白されたって、彼には迷惑以外の何物でもないし


気持ち悪いだけだ……



フラれると分かっていながら、そんな風に思われると知っていながら


告白出来る程、僕は強くない―――




この想いが成就しなくても良い




でも、今だけは君を想わせて




こっそり見ているだけで良い






気付かないで


僕のこの想いに……―――

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