第4話:私を捕まえて。

「まあそうだな、もし外に出るなら昆虫採集かな」


「あ〜やっぱりそこ?」

「昆虫捕まえに行く時間あったら、いいかげん私を捕まえてみません?」


「雨野君、君って時々大胆な発言するね」


「私、魅力ありませんか?」


「充分、魅力的だけど・・・正直言って僕としては雨野君が僕の彼女だってこと、

世間に吹聴して回って優越感に浸りたいくらい魅力的だよ・・・」


「それなら、どうしていつまでたっても私を抱いてくれないんですか?」


「抱いてって・・・うら若い女子が・・・そんなこと」

「僕はね、あまりそういうことには執着しないタイプなの」


「え〜淡白な人・・・そこも無精なんですか?」

「私って彼女がいるのにしたいって思わないんですか?」


「雨野君は、僕の彼女だけど妻じゃないからね」

「結婚もまだしてない子とそう言う淫らな関係になるのは道徳的によくないと

思うんだよね」


「なに、聖人君子みたいなこと言ってるんですか・・・そんな考え古いです」

「ミスターまだ45才でしょ・・・明治時代の人じゃないでしょ?」

「もう、やな感じ・・・」


「まあ、たしかにそんな化石みたいなこと言ってたら彼女なんかできないか」


「なに言ってるんですか・・・私が彼女でしょ」

「ミスターが腰を上げないと私、腐っちゃいますよ」


「おっ・・・じゃ〜標本用の防腐剤注射しとかなきゃな」


「別の注射してください」


「お〜おおお、なんてこと言ってんの、雨野君・・・なに今の?」


「少しは刺激になりました?・・・やる気になりました?」


「雨野君が、どうしてもって言うなら僕も彼氏としての責任があるからね

責任を果たさないといけないとは思うけど・・・」

「彼女に寂しい思いをさせたら彼氏失格だからね・・・」


「それに僕がEDって疑われたことも、違うんだってことを証明しないと僕の

プライドが許さないからね」


「EDって言ったのは冗談です・・・本気でそんなこと思ってないですよ」


「冗談でも雨野君の脳裏にEDってふた文字が浮かんだことには違いないわけだから

なおさら、そんな疑いは払拭せねばならんだろ?」


「大袈裟ですね・・・で?、どうするんですか?」


「そうだな・・・昆虫を捕まえに行くのは、またの機会にして雨野君を捕まえ

ようかな・・・なんちゃって・・・」


「そうですよ・・・捕まえて、捕まえて」


「急にはしゃぐね、雨野君」


「そうと決まれば、善は急げ・・・シャワーしてきま〜す♪」


「え?今から・・・今からなの?・・・そこはさ夜になってからの話じゃないの?」

「って言うか、全部冗談なんだけど・・・やらないよ僕・・・雨野君」

「君とエッチいことする前に、君のご両親に娘さんとエッチしてもいいですかって

許可取らないと・・・」


「雨野君・・・聞いてる?」


「あのね、どこの世界にお宅の娘さんとエッチさせてくださいなんて言って

いいですよって快く承諾してくれる親がいるの」

「まだお宅の娘さんを、僕にくださって言う方が承諾してくれる確率高いです」


「・・・やっぱり昆虫探しに行こうかな〜」


つづく。

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