第22話 佐々木悠真④




「……は?」



 生徒会室に向かっていた俺が目にしたのは親しそうに話をしている月島麗華と小日向真由が二人並んで歩いている姿だった。



 は? まさか……仲直りしたのか? どうやって?


 ていうかいつの間に? 今日の朝までそんな気配全然なかっただろうが!?



「石橋!」


「……どうやら仲直りできたみたいだな。ま、どうでもいいけど」



 何やら親しげに会話している石橋と麗華と真由。


 は? まさか今回の麗華と真由の仲直りの件に絡んでいたのか?


 くそッ! くそ! くそ! くそ! くそ!! なんなんだよ!!……知らないよ!! こんな展開!! ふざけんな!!



 あまりの怒りに頭を掻きむしる。それだけでは俺の怒りは収まらない。


 っふー!! ふっー!! …………だめだ。落ち着け。冷静になれ。ふ、ふっ、フゥー!!



 ……そういえば、クズ島の時もあいつがいた。


 いや、石橋はこのゲームではどう足掻いても主人公(俺)の引き立て役にされる当て馬キャラだ。


 ゲームのストーリ自体を変えるようなことが出来るわけない。


 ……可能性があるとすれば、石橋強も中身は俺と同じ転生者で、ゲームのストーリーを変えるように介入した? 


 あり得ない話ではない……だとしたらこの上なく厄介で俺としては邪魔な存在だ。


 とは言っても真っ向から立ち向かってもスペック最強の石橋強に勝てるはずがない。


 それにヒロイン達の石橋への評価を下げるように行動したら、雛乃ちゃんのようになりかねない。


 ……ストーリ上、あいつが最短で破滅するのは終業式の日だったはず。


 このままストーリーに沿った未来になる可能性も0ではない。

 

 どちらにせよ。今は、下手に動かずにチャンスを伺うしかない……


 ああ!! クソ! クソ! クソ! クソ腹立つ!! 石橋のくせに! 俺の噛ませのくせに!! ふざけやがって!


 怒りに身を任せ、ゴミ箱を思い切り蹴っ飛ばしながら俺はこの場を後にした。



 

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