第6話

「アネモネさん」



「はい」




え?何、この結婚の誓いでもするかのようなこの雰囲気。



お姉ちゃん許しませんよ?



「この角に触れるのは、私の生涯ただ一人の伴侶だけなのです」




マジか、そんな設定……


男が触ったらどうなるの……?




「私っ。鬼瑠さんのことっ好きです!なります!お嫁さん!だからっっ」




どんだけ必死やねんっ


………………


て!!




「アネモネーーッ!!」




あたし絶叫!!


ハ!?


好き!?


地獄の鬼を!?



アホかっ!


お前はアホなのかーっ!!




「何!?うるさいよっヒマワリッ」



「地獄の鬼が好きとかっ、嫁になるとかっバカかっっ!!」



「バカじゃない!!」



「許しませんっ!!」



「ヒマワリのバカッ」



「バカはアンタだっ」




16歳で鬼の花嫁って!!


そんなものになるために、お母さんアンタを育てたわけじゃないのよっ!?




「お母さんじゃないし」



「母さんの気持ちの代弁だっ」



「だって仕方ないじゃない!好きになっちゃったんだものっ!この機会逃したらもうっ」




だものっ!


じゃなーいっ!




「ア」



「アネモネさんっ!!」



「はい!!」



「こんなに熱烈な求婚初めてです!」




鬼神の赤い瞳がキラキラ輝く。



でしょうね。


って、違うわっ。



「アネモネさんなら良いです!触って、私の花嫁に……」



「鬼瑠さんっ」



「アカーーーーンッ!!」




人は焦るとアカンという言葉しか出ないらしい。

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