第48話
「魔王はどんな人なんだ?」
「私達のことを一番に考えてくれる優しい人よ?」
「そうか。なら話はできるだろうな」
と魔王城を進んでいく。
「この下が魔王様のいる80階層なの!じゃあよろしくね」
「ついてこないのか?」
城の兵士がずらりと並んでいる中、次の階層の階段がある。
「私達は何故か80階層に降りられないのよ、なんでかわかる?」
「…わからんな」
「そ、久しぶりに魔王様の顔を見たいんだけどなぁ、魔王様は上の階にあがってこれるんだよ?」
「なんで上がってこないんだ?」
「わからない、でも私達がやることは魔王様には筒抜けだからねー」
と言うサキュバスのプリウは羽ばたいて兵士達と一緒に並んでこちらを見ているので、
「いくか!」
気合いを入れて降りていく。
「へぇ、凄いな」
降りていくと書物がたくさんある中に魔王と思わしき人物が豪華な椅子に座っている。
「よくきたな」
まだ若そうな男だ。これが魔王か。
「あぁ、話をしにきたんだがいいか?」
「あぁ、こちらも話し合いで解決できるならそちらの方がいいな」
と魔王もそう言うので、とりあえず床に座って話をする。
「何故人間を食べるんだ?」
「一番効率がいいからだな。獣のように毛が多いわけでもなく、皮膚も硬くない。少々暴れるが獣よりも弱いので捕まえやすい」
「ふむ、そう言う目線で言うとそうなるか。…他には食べ物は?」
「そうだな、草食の者は草を食い、肉食のものは肉を食うだろ?人間は雑食だ。何を与えても食べるからな」
と言う魔王は肘をついて気だるそうだった。
「魔王も食ってるのか?」
「そりゃ食うだろ?だが最近は食ってない」
「そうか、ならこれはどうだ?」
とハンバーガーを出して見る。
「これはどうやって?」
「こうやって食うんだ」
「そうか、でわ…あむ」
「口に合わないか?」
「いや、食えないことはないな。肉が入っているな」
魔物は肉食か草食なのだろうな。
「んじゃこっちは?」
フランクフルトを出してやる。
「ふむ、これは美味いな!人間の肉か?」
「これは豚だな。養豚と言って豚を養殖している」
「ふむ、豚か…こちらにもプフという生き物がいるがなかなか小さくてな」
「まぁ、品種改良してる豚肉だからなぁ。こっちでそのプフを改良できないか?」
「うむ。新たに生み出すことはできると思うが、魔石が必要でな」
「なら俺が融通するとしよう。日本に帰って養殖の技術も持ってこよう!」
これで食べ物の心配がなくなれば魔王も安泰だろう?
「奴隷はどうする?」
「そうだな、ここの外では奴隷は禁止されている。出来れば解放してやれないか?」
「そうだな、なればこんどお主がきた時に引き渡せるようにしておこう」
「お、ありがとう。話がわかるね」
「話もせずに向かってくるものばかりだったからな」
「勇者なんかも?」
「そうだな。あいつは特に話を聞かなかったな」
そうか、それで負けた残りの2人がカタリナとセシリアか。
んじゃ、
「とりあえず食料を置いていくよ。どこに出せばいい?」
「上の階に出してくれるか?」
「わかった!魔石は?」
「それは私がもらおう」
大量の魔石を取り出す。
「おぉ、魔石は十分足りるな」
「ならそのプフってやつを大きく太くしてみればいいんじゃないか?」
「そうだな。とりあえず反抗しないように創り変えなければな」
「んじゃ、また来るよ」
「あぁ。待っておる」
と言って上の階に出ると、
「どうだった?」
「お。プリウか、まぁ、話はまとまった。食料を出すから保管してくれるか?」
「分かった!」
大量の食料を出していく。
まぁ、入ってる分ほとんどだな。
「これはなぁに?」
「ん?それは甘いものだ。くちにあえばいいが」
「あむ、んーーーー!美味しい!」
とセクシーな衣装のプリウは腰をくねらせながら甘いものに歓喜している。
「そうか?それはドーナッツだ」
「これの他に甘いのは?」
「ここら辺は甘いな!」
「イヒヒ、いっぱいある!これ私のね!」
「みんなで分けろよ?また持ってくるからな?」
「わかったよ!またね!」
とりあえず下の魔王のところに降りていく。
「後ろのモノリス使っていいか?」
「あぁ、私は使えないからな」
「ん?そうなのか?」
「わたしはダンジョンに取り込まれた時にここのボスになってしまったようだ」
そんなことがあるのか…
「それは辛いな」
「まぁ、しょうがない。民さえ無事ならそれでいい」
「そうか、それじゃあな」
と言って別れる。
まだ下の階層があるようだが、今は魔王国を立て直すことが先決だな。
俺はモノリスに触り上まで戻るとゲートを潜り外に出る。
「おかえり!ユウ!」
「おう、ダナはまだいるのか?」
「それはないでしょ?一週間も帰ってこないんだもん!なんかあったのかと思ったわ!」
そんなに潜ってたのか。
「悪いな!他のみんなは?」
「まだダンジョンの中よ?」
そうか、みんなダンジョンに入っているのか。
「俺は今からやることがあるから」
「そう、何か手伝えることはない?」
「うーん、そうだな、畜産関係の本を買ってきてくれないか?」
「分かったわ!それだけ?」
「おう。あとは俺が動くから」
「じゃあ。ギルドで待ち合わせね?」
「おう!」
とダナに頼んで俺は着替えて外に出る。
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