第47話


 ダンジョン70階層に降り立つ。

 下に行かないわけにはいかないな。

「さて、魔王国をどうするかだが、魔物も生きてるんだよな」

 魔物も街があり、生活をしている。

 一概に人間が殺して回るのもどうかと思う。

 とりあえず魔化のバングルをつけて下に行く。


 71階層、普通に降りてきて街に入る。

 街はそれなりに賑わってるが、この前のようなことはない。

 奴隷屋に寄ってみる。

「奴隷はいるか?」

「あ?いるわけないだろ?新しく人間が入ってくるかも分からんし、そろそろ潮時かもな」

「そうか、悪いな」

「いやいいってことよ、こっちこそ人間がいなくて悪かったな」

 ふぅ、もう人間がいないのか、それだけでも聞けてよかった、

 

 それにしてもやっぱり生活は人間と変わりはないんだよな。

 魔物も買い物してるし、生きるために仕事をしている。

「はぁ、これで人間を襲わなければ…」

 宿に入ると街を見下ろし、魔物にも階級があるんだなぁと思った。


 次の日は74階層まで降りていく。


 だいぶ栄えてはいるようだが、人間はいない。

 聞いてみると魔王城は80階層にあるらしい。

 61から80までが魔王国になるようだな。

 敵になる奴らもいない、魔化のバングルをしているので気づかれないが、魔物たちも気さくに喋りかけてくる。

 まぁ、人型が多くなってきているのも原因かな?


 次の日も2階層したの76階層に降り立つ。

 また荒地を直走ると街が見えてくるので並んで入る。

「ここは魔物?が多いな」

 とても賑わっているように見える。

 ここは獣人の街なのか?

 猫耳や犬耳のカチューシャをつけてるように見える。

 ここも魔王国に入るのか?

 宿に行く前に色々と回る。

 スキルボール屋があったので入ってみると、

「い、いらっしゃいませ」

「ちょっと見てもいいか?」

「は、はい!どうぞ!」

「ん?どうした?なぜ怯えている?」

「ひ、す、すいません!魔人様に不快な思いを」

「いや、不快だなんて思っていない」

「あ、ありがとうございます!!」

 ここはなんなんだ?

 見てみると外に出ているのは魔物用で、また樽の中は人間用のスキルボールだった。

 出ているのは『噛みつく』『引っ掻く』『獣化』などだ。

「この樽をもらおう、いくらだ?」

「いえ、魔人様にお金など」

「はぁ、ではこれでいいな?」

 俺は金貨を10枚置く、500ゼニーだ。

「これでいいか?」

「は、はい!ありがとうございます」

 樽をインベントリに収納すると外で悲鳴が聞こえたので出て行く。


「すいません!娘の代わりに私が!」

「いや!お前はいらん!こいつはもらって行くぞ!」

「え、エミリー」

 と貴族のような服装の腹のでたオーク?が獣人の娘を連れて行こうとしていた。


「はぁ、お前は何してるんだ?」

「ああ?お前も魔人か、見てわかるだろ?食い物調達だよ!」

「は?」

「お前も人間の肉を食えない時によく食べるだろ?獣人の肉を!」

「…そう言うことか」

 ここは養殖場のような場所なのか…そして魔人達は…

「そうだな。だがその娘は俺がもらおう!」

「は?お前この方を誰だか知らないのか?八大魔将の一人、無手のヴァロンの一人息子だぞ?」

「知らないし関係ないだろ?」

「て、テメェは死ねぇ!!」

 俺は『神速』で護衛を斬り捨てる。

「な、な、お、お前やりやがったな!パパに言いつけるからな!」

「どうぞ、ご勝手に?」

「く、くそ!帰るぞ!」

「はひぃ!!」


 逃げていったそいつらを追うことなくその娘を親に渡す。

「あ、貴方様は?」

「さあな、気でも狂ったんだろう」

「ありがとうございます!!」

 と親子は帰っていった。

 さて、この人数は助けられないし、どうしたものか?


 街を見て回るが、魔道具屋はなく、冒険者ギルドはあった。

「なぜ冒険者ギルドが?」

 入ってみると、

「お、おいおい魔人様!俺ら冒険者は食わないって約束じゃないですか?」

「…そうだな。悪かったな」

「い、いえ!ありがとうございます」

 そう言うことか、冒険者は食われないんだな。

 自給自足させてるのか。

 はぁ、考えるもんだな。

 それからその街を出てまた直走る。


 他にも村や街があり、その全部が獣人だった。

 この階層は獣人だらけなんだな。


 77階層、

 この階層に入ると何かまとわりつくようなそんな感じがする。

 一回上に戻るとやはりなにか体調が良くないので、

「『アンチドーテ』」

 毒解除の魔法を唱えると普通になるな。

 はぁ、毒の階層があるのか。

 インベントリの中のスキルボールを確認して、

 F『孤独』とE『工務』を『カスタマイズ』させて『構築』する。

 A『毒無効』になったのでそれを使う。

 残った『孤』はF『粉』にしてスキルボールに貼り付けておく。


 これで77階層に入っても問題なくなった。

 ここは荒地ではなく森になっていて、どうやら毒耐性を持ったものがいるようだ。

 森の中を通って行くとヴェノムドラゴンがおり、こちらを敵と認識しているようなので『斬撃』を放つと飛んで避け、毒を吐いてくるのでそれ避けながら近づき首を斬る。

 ドロップは毒短刀・雅毒という短刀と魔石に変わる。

 ヴェノムドラゴンを倒すと少し毒が薄れた様だったがまあ、気のせいかもな。


 その後もヴェノムドラゴンは何体も倒し、森を抜けると階段がある。とりあえず78階層へと足を踏み入れる。

 森は終わりまた草原が続くようだ。

 道なりに走っているとようやく下に行く階段があった。


 79階層、ようやく毒霧のようなものはなくなった。

そしてここに王城のようなものがある。

「ここが魔王の城か」

「そうだよ!」

「うおっ!」

 いきなり背後に現れた女の魔物。


「ビックリした?あはは!私は八大魔将の1人でサキュバスのプリウちゃん!魔王様のとこまで案内するよ!」

「魔王は話を聞いてくれるのか?」

「そりゃね!聞くに決まってるでしょ?このままだと私たち飢え死にしちゃうからさ」

 そうなのか、魔物もまた死活問題なんだな。

「よし、行こうか」

「そう来なくっちゃ!」

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