第42話


 何もしたくない日があってもいいのではないか?

 そんな時があっても人はしょうがないと思う。

 眠たいので寝ていると、

“ティロリロリラン”

「ふあい」

「なに?寝てるの?」

「今日は何にもしたくないんだよ」

「珍しいわね。熱でもあるんじゃないの?」

「んー、あ!多分ない」

 『常温』スキルがあるからな。まさか風邪引いても熱が出ないとか?それはやばいな。

「とりあえず寝てなさいよ、なんか買ってきてあげるわ!」

「別に…切りやがったな」

 それにしても『常温』はやばいな、スキルボールに移しておこう。


 あ、熱あるかも…寒気がしてきたな。


 “ピンポーン”

 「はいはい」

 俺は痛む体を何とか引きずって出るとすぐに解除する。そして玄関までいき鍵を開けると、

“ガチャ”

「あんたやっぱり熱があるんじゃない!!」

「おう!風邪かな」

 とベッドまで行き倒れるように布団に入ると寝てしまった。


「ほら、起きなさい」

「ん、」

「お粥、食べれる?」

「おう」

 少し楽になったようでお粥を食べているとツクヨも来ていたようで俺の額に手を当てる。

「あはは、ツクヨのの手は気持ちいいなあ」

「はい!」

 食べ終わると薬を飲まされ、着替えさせられて、冷えピタを貼ってまた寝る。

 布団から起き上がれないなんて何年ぶりだろうか。

 さすがに歳をとってから熱を出すなんてことは無くなってきたからな。


 夜になってようやく起きれるようになったのでシャワーを浴びてまた横になる。

「明日も来るからね!あんたも帰るの!」

「ユウ様ぁー」

“バタン”

 と久しぶりに何もできないのでインベントリの中の整理をする。

 入らないスキルボールが沢山あるな…樽で買ったからなぁ。


 鑑定して売ってもいいかもなぁ。

 カスタマイズを見てみる。


 カスタマイズ…使用者の必要に応じて設定を変更できるようだ。


 組み合わせを考えてみるか…カスタマイズは、出来ないのか?

 B『火魔法』からF『暇方』うーん、頭が悪いとダメだな。スマホの変換で見てみるか。

 B『氷魔法』か、B『飛魔法』だな。

 と思っていたが、それよりS『魔法』にした方がはるかにいいことに気づいた。


「あぁ、やっぱり頭が回ってないとだめだな」

 でもちょっと楽しいな。

 E『現役』+B『解除』+E『整理』+F『豪気』

 『言益』+『界女』+『世異利』+『語雨季』にして、

 A『異世界言語』D『利益』で残りを変換してB『騎乗』!

 おぉー、余すことなく使えた!!

 『異世界言語』と『騎乗』は使えるな!

 漢字だから使えるのであって英語なんかだと無理だろうから言語が欲しいが辞めておこう。


 あー、頭使ったら眠くなってきたな。


 気付くと朝で体は軽くなっていた!


 朝から昨日飲めなかった分と理由をつけて朝から飲みだし、テレビを観ながら笑っていると、

“ティロリロリラン”

「はーい!」

「…あんた飲んでる?」

「え、あ、はい」

「病み上がりの奴が何飲んでんのよ!今から行くからね!」

「ひっ!」

 ま、まぁバレたらしょうがないよね!


“ピンポーン”

「解除っと」

“ガチャ!”

「あんたね!心配かけといてなに飲んでるのさ!」

「まぁまぁ、昨日飲めなかった分をだね」

「なぁにが昨日の分よ!これは没収!ゴクゴクゴク」

「あ、あぁー」

「文句ある?」

「ないです」

 怖いヨォ。


「でもすぐ治ってよかったわね」

「お陰様です!」

「はぁ、今日はもう何もしたくないわ!」

「そんな日もありますよね?」

「はぁ、飲んでいいわよ?ほどほどにね?」

「やった!よし!ウーバーだ!」

 というわけで朝からビールを飲む2人にツクヨも加わって、

「ほんと異世界言語って売ってないのね?」

「ん?あるぞ?いるか?」

「ほんと!いるわよ!何喋ってんのかわかんないし!」

「ほれ!」

 すぐに割るイロハはようやく喋れるとセシリアとカタリナに会いに行った。

「凄い喋りたかったんだな」

「ですね?喋らなくても大体わかるのに」

「そうか?口にしないとわからないこともあるからな」

「それは…そうですね」

「だろ?」

 そうなんだよな、でも口に出すとやばいことだってあるからな。ついうっかりって奴がな!

「でもツクヨもおしゃれになったな!可愛いぞ?」

「は、はい」

 顔を赤くするツクヨは可愛いな!

 まだ21だからな。可愛い年頃だな。

 それにしても遅いなぁ。

「たっだいまー!いやぁ、喋れるって凄いね!」

「あはは、普通に喋れるだろ?」

 帰ってきてソファーに座るイロハ。

「うん!セシリアもカタリナも想像通りだったわ」

「そうか、ツクヨは?」

「だってこの子ユウとしか喋らないじゃん」

「そうなのか?サヤカとは?」

「すこしだけ」

「へぇ、可愛い声ね!いくつなの?」

「21です」

「んっわっか!」

「若くて可愛いだろ?」

「そうね!叶達より若い、一番年下じゃない?」

「おーそうか、そうだな!」

 叶達が23だったはずだからな。

「あれ?セシリアとカタリナは?」

「あー2人とも25よ?」

「ダナはいくつだ?」

「ダナは26よ?」

「そうか、みんな若いなぁ」

 みんなこれからがあるんだよな。


 まぁおっさんも負けてられないけどな

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