第26話


「そんなことになっておったのか」

「だから、この3階層は仲良くして欲しいのだが?」

「わかった!しかし人間が取り持つ仲とは面白いもんだな!」

 皆笑っているがそんなに人間が悪かったのか?

「こちらの人間はそこまでだったのか?」

「そうか、知らなんだな。ワシらが隠れ住むのは人間がワシらを奴隷として扱うからじゃ、人類至上主義とか何とか言っておったの!」

「そうよ?まぁ、貴方は違うようだけどね!」

「そうか。そうだったんだな」

 他の人間…オークションにかけられたりするのがもしエルフやドワーフをそう言うふうな道具としてみてるのなら虫唾が走るな。


「さて、もう遅い!部屋を用意するから皆は寝てくれ」

「食事はしないのか?」

「ここは洞窟でな、なかなか食べ物が手に入らんのじゃ」

「なら俺が出してやるからみんな手伝ってくれ」

「「「「はい」」」」

 肉ならたくさんあるからな、とりあえず出せるものは出してやろう。


「ほ、本当にいいのか?」

「気にするな、それより手伝ってくれよ」

「わかった!皆の者!しっかり働くのじゃ!」

 ドワーフにダークエルフ、エルフが一緒になって飯を食う。あ、俺は人間だがな。

「美味いのぉ!ありがとうユウ」

「おう、これからはこの3階層で交易すればもっとマシな生活が送れるだろうさ」

「そうじゃな!がんばるぞい!」

 みな腹一杯になって寝落ちしたようで俺らも雑魚寝をする。

 翌朝は下の階層に進むためにドワーフも若いのを連れて着いてくる。


 階段を見つけると下の階はボス部屋になっていた。

「ここまでだな!ここからは俺1人で行ってくる」

「そんな!俺たちも戦えるぞ!」

「いや、嫌な予感がするんだ。悪いが俺だけにしてくれ」

 ドワーフが最後まで行くと言っていたが、抑えられて俺1人で扉を開けて中に入ると、仲は真っ白な世界だった。


 そして見たことあるやつが一人。

「はぁ、やっぱりお前かよ」

「また会いましたね!それよりもすごいですねー、エルフにダークエルフ、ドワーフまで仲間にしてしまうなんて」

「それがどうした?人間はあいつらのいたところだけじゃないだろ!」

「そうですね、私も少し考え直しましたが、やはり今の地球はあの3種族に任せたほうが良さそうですね」

 だからあの3種族をダンジョンに閉じ込めていたのか。


「そうかもしれないが、そうじゃないかもしれない。俺はバカだからこれからの未来はわからないけど人間はバカじゃないだろ!」

「…そうかもしれませんね。皆が貴方のような人だったらの話ですが!」

「ジブリールだったか?何とかならないのか?」

「…さぁ?何とかして見せてください!」

“ギンッ”

「くそ!本当にダメなのかよ!」

「これは神の言葉、人間は淘汰されるべきなのです」

「おらぁぁ!」

「ふっ!」

“ギンッ!”

「貴方は正しいのですか?」

「しらねぇよ!俺は間違ってるかもしれないが!」

 『神速』『斬撃』!

“ギギギギギンッッ!!”

「お前が正しいとも思っちゃいねぇ!!」

「くっ!」

「『獅子奮迅』!!」

「グアッ!!」

 ジブリールは体を半分食われたようになっているが、

「ふぅふぅ、ふぅ、ふぅ、」

「はぁ、こ、ここまでですね」

 ジブリールは再生し、翼を広げる。


「また会いましょう!その時は答えが出るといいですね」

「くそ!大災害はやめろよな!」

「それは神のみぞ知るですよ」

 と言って天に帰っていく。


 宝箱が置かれており罠もないので開けてみると虹色のスキルボールだった。

 『神眼』で見てもバグっているので、

「使ってみるか」

 割ってみると、


「グアッ、ググアァァァアァァァァ!!!」

 頭が割れるような痛みと体が裂けるような痛みが押し寄せ、俺は気を失ったようだ。


 それから何時間経ったのだろう。

 起きると体は軽くなっていた。

ステータス、

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

相葉 優アイバ ユウ 33歳

 ベースレベル89


 ビルダーLv75

 剣士 Lv86

 錬金術師Lv65

 大魔導士Lv50

 


 スキル

 S構築、S分解、A剣術、S神眼、S錬金、B集中、B修得、S神速、S魔法、A作成、A異世界言語、A体術、A斬撃、A常温、A猛毒撃、?神力


 ユニーク

 インベントリ

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・


 ジブリールの置き土産は『神力』だった。

 神の力とはどれほどなのか?

 とりあえず疲れたから帰るとするか。

 いやまずはドワーフ達に報告だな。


 扉を開けるとそこにはみんながいて、よかったと泣いてくれる。

「ユウ、髪が白くなってるぞ?」

「あ?ほんとだな」

 髪が白くなっている…いやまつ毛もか?

 それよりも、みんなに報告だな。

「まぁ大丈夫だったが、これ以上は進まないほうがいいだろう」

「わかった、それで、ユウは帰るのか?」

「あぁ、またくるからさ!その時はよろしくな!」

「おう!帰ってこいよ!」

 と別れる。



 白い部屋を通り抜けるとモノリスがあり、1階層に戻る。

 ゲートを通り外に出ると、

「あ!ユウー!!」

「ユウさん!えっ!髪が!」

「無事だったのね!」

「どうしたんですか?!」

「あぁ、ただいま」

 叶、杏、クリス、イロハが迎えてくれた。

 皆が帰って来たことと白くなったことに驚いて喜んでいるな。


「あはは、髪が白くなってしまったみたいだ」

「もう!心配したんですからね!」


 やはり帰るところはここしかないんだ。

 神がなんだ!人間はそんな弱くないぞ!

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