第25話
「村長の屋敷に行こう」
「わかった」
真ん中に村長の屋敷があり、普通に地面に建てられている。
「村長!客人をお連れした」
「入れ」
中に入ると年寄りのエルフが八人いて真ん中にまだ若いエルフが座っていた。
「さ、中に入ってくれ」
ブーツを脱ぎ上がるとゴザが敷いてあるのでそこに座る。
「客人よ、俺はエルフの村の村長でエルフィンと言う」
「相葉優だ」
「ユウと呼べばいいか?」
「そうだな」
「ではユウ、外はどうなっているんだ?」
「俺は上の階から来たが、上は溶岩地帯になっていて人の住める場所じゃないな」
「な!なぜそんなところを?どうやって?」
エルフィンは驚き、身を乗り出す。
「スキルで熱を感じにくくしたんだ」
「そ、そうか、ダンジョンの外はどうなんだ?」
「人間の社会だな。エルフなんていない。人間だけだ」
「な!そ、そんなことが」
「もともとこの森の外はどうだったんだ?」
「この森の外は、人間が支配していた。エルフやドワーフを奴隷にし、人間が一番上だと決めつけていたのだ」
「…だからか、こいつに殺されそうになったぞ!」
「悪かったと言っているだろう」
「あはは、冗談だ。しかし、不思議だな。ダンジョンの中にこんなところがあるとはな」
「われらも気付かぬうちにダンジョンに取り込まれていたようだ」
「ここは何階層なんだ?」
「57階層になるな、普通の冒険者では辿り着けない」
「そんなに深い層に…」
「この村だけなら衣食住は賄えるんだろ?」
「そうだな、だが趣向品などは交易で賄っていた。そうか、だから商人がやってこなかったのか」
エルフィンは悔しそうに言う。
「そうか。なら俺はインベントリ持ちだから交易はできるな」
「な!そんなスキルを持っているのか!」
「おう。どうする?」
「ぜひお願いしたい!」
村の広場に出て交易に使えそうなものを出して行く。
「魔石はないのか?」
「あるぞ?どれくらいだ?」
「できればでかいほうがいいが」
「じゃあこれだな」
ドラゴンの魔石を出すと、
「こ、これはいくらするんだ?買えないではないか!」
「あ?んじゃ、これくらいか?」
「あぁ、それで頼む」
とバスケットボール大の魔石を売ろうとするが、
「物々交換になるな。こっちの金は使えないからな」
「そ、そうだな。ミード酒を2樽でどうだ?」
「いいぞ、あとは薬草や素材になるものでもいいな!」
「よし。待っててくれ!」
ミード酒や、薬草、衣服に素材なんかを交換して行く。
「よき交易者ができてよかったよ」
「あぁ、こちらも素材が集まって嬉しいよ」
「今日は泊まっていけ、部屋は用意してあるからな」
「わるいな」
飯の後に部屋に案内され、長い1日がようやく終わる。
「起きたか」
「あぁ。よく寝れたよ」
「それはよかった。で?今から帰るのか?」
「いや。下の階層に向かう」
「まだ下があると?」
「あぁ。あるな」
「それでは村の若いのを連れて行ってもらえないか?」
村の若いのを?大丈夫かな?
「安全は保証できないぞ?」
「分かっておる。こちらも其れなりの手練れだからな」
外で待っていると男が2人に女が1人出て来た。
「右からフィン、クウ、ソアラだ」
「「「よろしくお願いします」」」
「あぁ。よろしくな」
全員と握手を交わして下の階層に向かう。
「こ、こんなところに!」
下へ続く階層を見つけるとビックリしている。
「ここからは何があるかわからないから戻れるようにな?」
「「「はい」」」
降りて行くと今度は夜の森だった。
「ここは?」
「大樹があるな!だがなぜこんなに暗いんだ?夜の暗さではないな」
下まで降りるとより一層暗く見える。
「あら!お客さん?」
「だれだ!」
エルフ達は臨戦態勢にはいるが、殺気がないのでおろしてもらう。
「あらよくできたお兄さんね!この迷いの森に何のよう?」
「ここはダンジョンだからな、冒険者としては降りてみたいと思ったんだが」
「…できれば詳しく聞きたいわね」
また同じことが起きてるようだ。
同じように説明すると村までついて行く。
「ここと同じように上の階も?イルスラーンじゃないと」
「そう言うことだな。できれば上とは仲良くしてもらいたいな」
「それはこちらからもお願いしたい。ワシらはダークエルフ、この迷いの森の守護をしておる」
「ダークエルフ?!こんなところにいたなんて」
「エルフとは仲は悪いのか?」
「いや、エルフはエルフだ、変わりはない。だがこうして会うのは初めてだ」
とエルフの若い方から手を出し握手をしている。
さて、じゃあ次の階層にいくか!
「俺たちは下に行くが?」
「待ってくれ、うちの若いもんも連れてってくれ!」
また3人ダークエルフが仲間になった。
「本当にあったな!」
「あぁ、ここが次の階層への階段だ。
俺たちは黙って下に降りて行くと今度は地下のようだがやたらと煙が上がっている。
「で、ここがドワーフか?」
「「「ドワーフ?!」」」
「いや、ふと考えれば出てくるだろ?」
中央に進むと鉄を叩く音が聞こえてくる。
「あ!人間だ!」
「なに!え!エルフにダークエルフまで?
「悪いが村長に会いたいのだが」
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