第16話


 ギルドにやって来た。

 久しぶりに一人で攻略だ。今回は40階層からだ。

 一回きたが、あのときは探索できなかったからな。

 『神眼』で見るとやはり素材の宝庫のようでヒールベリーやデトックスマンゴーなどいろいろあるな!

 果物ばかりじゃなくて上薬草やキノコなんかもあるので採取して行く。

 出てくる敵はサーベルタイガーやデッドマントヒヒなどが襲ってくるが、これは斬り捨ててドロップに変わる。いい採取場所だ。

 宝箱もあったので開けてみるとスキルボールだ。『暴風魔法』か、なかなか使い所が限定されるな。インベントリの肥やしになりそうだな。


 43階層まで来るとレベルの上がるスターフルーツがなっていた。一個だけだからレアなのだろう!

 こう言うのがあるから採取は楽しいな。

 だが出てくる敵もマッドマッシュルームやブラッドワイパーなどの耐性異常系がでてくるので注意して進む。

 45階層になると大型のヒルやグレートマンティスなどキモい系も出てくるので少し苦手になってくる。さっさと倒して次に進むが、ここからは虫もでかくなり昆虫嫌いはむりかもしれないな。


 今日はここら辺でいいと帰ろうとするが、宝箱をまた見つけたので罠解除して箱を開ける。アダマンタイトソードだ。

 ミスリルソードも何度も『構築』で直しているので。まぁいい獲物が手に入ったな!

 でも今使ってるのは赤い剣だ。アダマンタイトソードもどこかで使えるだろうからインベントリに入れておく。


 モノリスで1階層まで戻りゲートを潜るとちょうどイロハ達四人と顔を合わせる。

「あれ?今日はもう終わりですか?」

 とクリスが聞いてくるので、

「おう!45階層まで採取に行ってたからな」

「へぇ!あ!バッグ!」

 と杏が言うので思い出す。

「お!おぉ、そうだったな、はいプレゼントだ」

 リュックをインベントリから出して杏に渡す。

「きゃー!可愛い!」

「「「え?!」」」

「あぁ、約束したんだよ、ちょうどバッグが出来上がったばかりだったしな」

「え?って、ちょっと手作りなの?これが?」

「かえせー!わたしのだぞ!」

 と杏がイロハから奪い取ると大事そうに抱える。

「まぁ、革はつくってたからな。」

「えー!すごい!じゃーお財布とかも?」

「作れるぞ?」

「わぁ!すごいすごい」

 と3人がはしゃいでいる中、杏が気付いたようだな。

「こ、これはだめだ!って、こんなのつくれるの!?」

「な、なに!どうしたの!?」

 杏をとめる叶達だが、イロハはバッグを見て、

「…マジックバッグだわ」

「「え?!」」

 あはは、バレてしまったか。

「どう言うことよ!説明しなさい!」

「作ったらできた、と言うかここじゃ邪魔になるだろう?」

 ということで近くの喫茶店に行くことになった。


「はぁ、規格外だわ!」

「マジックバッグってダンジョンからしか出ないんじゃないの?」

「いや、空間魔法と認識魔法と付与魔法が使えれば作れるぞ?」

 三人いればできるんじゃないかな?

「そんなバカみたいに魔法を使える人間がいないのよ!」

「えへへー、マジックバッグ」

 杏は喜んでいるようだからいいじゃないか。

「で?まだ作れるの?」

「まぁな。杏はデザインはそれで良かったか?」

「もちろん!!最高に可愛い!」

「それは良かった」

 デザインを考えるのも大変だな。

「よくない!!私も欲しい!」

「なら私も!」

「私だって欲しいです」

 三人が言うが、

「え?だってパーティーに一人でいいだろ?」

「そ、それはそうだけど」


「私も欲しいぃーー!!」

 叶が駄々をこねると、

「わたしも!」

「そりゃ私だって返しちゃったから欲しいし、こんな可愛いマジックバッグなんてないわよ?」

 そうか、そうだな、ダンジョンからのはデザインは決まってないもんな。

「んー、作ってもいいが、どんなのがいいんだ?」

「あー!私のだけでいいじゃん!」

「「「だめー」」」

 と杏にダメという三人はネットで検索し始めると、俺に見せてくる。

 結局は『構築』して魔法を付与してやり、作る羽目になったが。

「ここじゃ誰が見てるかわからないからいくわよ!」

「どこに?」

「あんたの家に!!」

「ええ?!」


 というわけでしょうがなく四人を俺の家にあげると。

「綺麗なところじゃない!」

「わー、一人暮らしなんだ!」

「ソファーふかふかだ!」

「お邪魔しまーす」

 とりあえず冷蔵庫やら見られて勝手に飲み物を出されると、

「じゃあどうぞ!」

「そんなに見られててもな、まぁいいか」

 空間魔法と認識魔法を付与して行く。

「よし。出来上がりだ!」

「やったー!私のバッグだ!」

 と、叶、クリスのまで作ったが、

「おい。おまえのだけ普段使いじゃないのか?」

「え!?ばれた?」

「そりゃショルダーバッグなんかダンジョンに持っていかないだろ?」

「いいじゃないの!三人もマジックバッグ作ったんだから作ってよ!」

 しょうがないから作るけどさ。

 

「やったわ!これ!大事にするね!」

「「「じー」」」

「い、いいじゃないの!私だって欲しいのよ!」

「そういうのじゃないでしょ!」

「まぁいいけどさ!」

「そうですね。イロハさんですから」

 三人も渋々納得したようだな。

 三人とも形の違うリュック型でおしゃれなバッグだな。

 イロハだけ違うが、まぁ、いいだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る