第5話

 ギルド受付に行くと深くお辞儀をされ、

「ありがとうございました」

「なんで?助けてあげられないのか?」

「私共は一従業員ですのでポーションの使用許可が降りないんです」

「そうか、辛い仕事だな」

 少し泣いてるようだが、

「はい、それではどのようなご用件でしょうか?」

「ドロップを売りたいんだが、カゴが足りないから待って来といてください」

「はい!わかりました」


 今日は頑張ったからカゴが五つになった。オークの肉も入れたからな。

 番号札をもらい後ろの椅子で待っていると、三人娘がやってくる。

「どうした?」

「とりあえずこれを」

 と五十万程の金だな。

「んー、じゃあ、コレだけでいいよ!」

「え!だめです!二百万は返さないと!」

「じゃあ、たまってからでいいよ?その剣だって折れてるし、お金いるでしょ?」

「あ」

 せっかくの剣が折れてるし防具だってメンテしないとコレじゃダンジョンに行けないからね。

「その剣貸してみな」

「はい」

 俺はインベントリに入れて『構築』すると、

「ほい、コレが俺の特技だ」

「け、剣が直った!え?!」

「鎧も治せるがどうする?」

「お、お願いします!」

 とその場で脱ごうとするので、

「おいおい、その場で脱ぐなよ?」

「あ!は、はい!」

 と三人は更衣室に向かって行った。


 俺も更衣室に行ってダウンを取ってくる。

「はぁ、やれやれだな」

 まだ呼ばれないのでコーヒーを買って戻ると着替えて来た三人は防具を持っている。

「ん、」

 インベントリにいれて『構築』してやる。

 素材は今回売ってないからな。

「ほら。できたよ」

「ありがとうございます!」

「綺麗に直ってる!ありがとうございます」

「へへっ、ありがとう」

「いえいえ、どういたしまして」

 と椅子に座ると、三人も椅子に座って話をして来る。

「じゃあ三人とも23歳なのか、若いなぁ」

「おじさんは?」

「33だよ、後おじさんじゃなくて相葉優アイバユウな?」

「じゃあ、ユウで!」

 と斥候で背の低い、ショートカットの元気そうな子の杏がそう言うと、

「ユウさんでしょ?」

 と魔法使いでハーフ、ロングの髪に顔立ちがはっきりしていて真面目そうなクリスが言う。

「あはは、どっちでもいいよ」

「じゃあ、ユウさんはなんのジョブなんですか?」

 茶髪の髪を結んで、大きな目をした叶がそう言うが、

「こら!カナエ!それは聞いちゃダメでしょ!」

 普通はジョブを聞くのはマナー違反だな。

「まぁいいか。ビルダーってジョブだよ」


「ビルダー?聞いたことないなぁ」


「まぁ特殊なジョブだな。さぁ、三人ともそろそろ帰りな?もう夜だぞ?」

「「「はーい」」」

「またね!ユウ」

「ユウさん、お金は必ず返しますから」

「またねー」

「おう!またな」


 意外と普通に喋ったが久しぶりに女の子と喋って緊張したな。後ろの席で待っていると、

「68番の方」

「お、やっとか」

 ようやく呼ばれて席を立つ。

「それでは内訳です。魔石が…」

 魔石が全部で500万、ドロップが合わせて1000万で今日の稼ぎは1500万だな。

「カードにお入れしますか?」

「お願いします」

「あとD級に上がったのでカードが新しくなります」

「えっ!この前あがったばかりなのに?」

「はい、ドロップ品が20階層のものと確認できましたので」

「あ、そうなんだね」


 新しいカードを受け取ると今日はもう帰る。


 歩いてかえる夜の道はなぜか清々しく、あの子達が助かって良かったと思う。

 俺も助けられダンジョンの怖さも知れた。

 なぜ行けるなんて簡単に思ったのか、俺はまだ弱いんだから。

ステータス、


ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

相葉 優アイバ ユウ 33歳

 ベースレベル26


 ビルダーLv20

 剣士 Lv25

 錬金術師Lv3


 スキル

 S構築、S分解、A剣術、S神眼、A瞬歩、S錬金、B精鋭、B集中、C美技、B修得、



 ユニーク

 インベントリ

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

 明日は久しぶりに休みにしよう!

 とくになにかをする予定はないが、毎日ダンジョンも飽きるだろうしな!


 と帰って飲んで、起きたら昼だ。

 昨日はあまり飲んでないんだが、全身筋肉痛で悩まされている。

「いてててて、あぁ、あんなに動いたのは久しぶりだったからな」

 ベッドから這い出ると、立ち上がり顔を洗う。今日ダンジョンにはどのみち行けなかったな。


 だがこのまま部屋にいるのもなんなので痛い身体を引きずり、ネットで探したスキルボールの店に行く。

 スキルボール自体まだダンジョンで見つけてはいないが、また掘り出し物があるかも知れないからな!


「いらっしゃいませ!本日はどのような?」

「スキルボールの鑑定前のやつを見せて欲しいんだが」

「あー、この前もいらっしゃいましたよ!なんでもビンゴの景品にするとかで」

「あはは、そうそう」

 あの坊ちゃんもここで買ったのか。

「こちらが鑑定前のスキルボールになります」

「ふーん、一個いくらだ?」

「一個十万円になりますね、コレは内緒ですが低階層のものですのでいいのはないと思います」

 それでも10個で100万か、あいつの嫌がらせは酷すぎるな。

「だから鑑定してないのか」

「そう言うわけです」

「まぁいいや。コレとこれと」

 俺は『神眼』でわかるから6個選んで買うことにした。

「ありがとうございました」

買ったのは、

 G『失神』…瞬間的な意識喪失

 G『失速』…速度が落ちる

 G『邪魔』…妨げになるもの

 D『作法』…人間生活における礼儀

 B『成功』…目的が成し遂げられること

 A『異世界言語』…異世界の言葉

 まぁ、成功は取っといてもいいが、コレはこうして、

 S『神速』…人間離れした速さ

 S『魔法』…不思議なことをおこなう術

 A『作成』…作り上げること

 『異世界言語』は習得しとく、なんたってAだからな!それに異世界人がもしいて喋れなかったら嫌だからな。

 後は瞬歩を空いたスキルボールにつけておく。

 あとの文字は消えてなくなったのでよし!

 だが何もついてないスキルボールが3個になったな。


 『魔法』は遠距離が欲しかったので後で魔法の本を買ってこないとな、『作成』は色々と『構築』に繋がるだろうし、『神速』は二つ目の神スキルだ。


 本屋に行って魔法の本を買う。

 魔法が載っているだけなのだが俺には『修得』があるので、コレでなんとかなると思う! なんともならなかったらスキルボールを買うしかないがな。


 

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