第3話
寮に帰り着くと肉を切り分けホットプレートを出す。
「うめぇ!」
焼肉なんて何年ぶりだろ?
久しぶりに黄金のタレを買って来た。
「最高だなぁ」
焼肉を食べビールで流し込む。
コレが美味くないわけがない。
「うめぇー!!」
寮で焼肉だからちょっと気が引けるがそれでも腹一杯食べた。
次の日は朝から不動産屋に来ている。
「とにかく入れる場所となると沢山ありますので希望はどうでしょうか?」
「そうですね、2LDKくらいで駅近く、あとはダンジョンが近くにあればいうことないですね」
お姉さんはバババッと書類を捲ると、
「それでしたらダンジョン物件がお得ですね!」
「ダンジョン物件?」
「冒険者の方向けの物件でして、ダンジョンが近くにあると普通の人は嫌がります。あとは刀剣類の保管場所やパーティーで住む方なんかにもオススメしていますね」
「ではそこをいくつか見せてもらえますか?」
「はい!」
ということで一軒目はワンルームタイプのダンジョン物件、流石にワンルームはちょっとということで次の物件に。
「こちらは2LDKで築浅ですのでオートロックで中も綺麗ですよ」
「それは期待できますね!」
中に入ると広い玄関にシューズルーム。8畳の部屋が二部屋あり、キッチンにはパントリーもついている。リビングは13畳と広く、ここなら文句はないな!
「ここにします!」
「え、もう決めるのですか?」
「はい、気に入りましたので契約をお願いします」
事務所に戻り契約をして行く。
冒険者ということで敷金などは多めに取られたが家賃は15万と安い方だ。
「では今日からお住みになりますか?」
「そうですね、出来ればそうしたいのですが」
「では、電気、水道には連絡しておきますので対応よろしくお願いします」
「はい!」
そうか、オール電化の時代だな。
もう、寮には何もない。全て収納してきたのでそのまま家に入って寮で使っていた煎餅布団などを出しておく。
「よし!家はどうにかなったな!あとは家具家電を買いに行くか!」
タクシーで大通りまで出ると家具屋に行く、
大きなベッドとソファーセット、テーブルなんかを一式買って、持ち帰りだ。
「え?持ち帰りですか?」
「アイテムボックス持ちなんでね」
「あ、はい!ありがとうございました!」
マットレスもいいのにしたから今日からぐっすり眠れるぞ!
つぎは家電量販店に行き、電気ポットやテレビ、冷蔵庫、パソコンなども購入する。
こんなふうに外に出なくてもネットで済ませる時代なんだよな。
最後にスマホを新しくする。
さすがに5年前のスマホだからな。
で、これだけで今日が終わってしまった。
家に帰って家具や家電を置いて行く。
殺風景だった部屋がそれなりにおしゃれになったなぁ。
これで明日は辞表を出すだけだな!
朝起きると良い目覚めだ!新しいベッドはいうことなしだな!
朝6時に起きて顔を洗い歯を磨いてスッキリすると、タクシーで派遣会社の事務所前に行く。
「お!なんだ?相葉!!なんでジャージなんだ!」
「あはは、これを渡しに来たからですよ!」
課長のテーブルに辞表を出す。
「は?な、なんかの間違いだろ?」
「いえ!俺はここを辞めます!辞表を出すだけマシでしょ?」
他は来なくなって辞めてしまう人が多いのだ。
「お、お前。もしかしてスキルボールが」
課長は汗が止まらないようだな。
「そうですね!あれがなかったら辞めれてないですね」
「ふ、ふざけるな!お前の後釜なんていないぞ!せめて他の人間が来るまで」
カチッと俺の何かが音を立てた。
「ふざけてるのはどっちだ!こっちは安月給で残業代も出ないし、バイトの方が日給高いのまで知ってんだぞ!」
「そ、それは」
「しかも俺のことを無能だと言ってたじゃないか!無能がやめてさぞ嬉しいだろうよ!」
無能と罵られても辞めることがないと思ってたんだろう?
「あ、相葉くん、困るんだよ!君に辞められると仕事が」
「そうでしょうね?俺がスキルで直してたんですもんね!ご愁傷様です」
俺はそのまま事務所を出ていく。
清々しいな!今考えるとなぜこんな会社にしがみついてたのかわからないな!!
「ま、待ってくれ!考え直して」
「無理ですね!寮にももういないので!じゃあ!」
待たせていたタクシーに乗り込んで家まで戻る。
「これで冒険者をやるしかなくなった、まぁ、このチート能力があればなんとかなるだろ!」
さて、今日もダンジョンに行きますかね!
ギルドに行くと黒いレザーアーマーに着替えて11階層から攻略していく。
1階層のモノリスに触り10階層のモノリスまで飛ぶ、11階層からはゴブリンライダーだ。
ゴブリンがファングウルフに乗って攻撃してくるので素早く避けなければならない。
瞬歩でサっと避けながら切ると、ファングウルフも消えてドロップに毛皮と魔石を落とす。
毛皮は金になるな!
とまたここで『神眼』が壁に何かを見つけたようだな。
インベントリでオークソードを『分解』し『構築』でツルハシを作るとその壁を掘ってみる。
出て来たのは銀色の塊だ、『ミスリル鉱石』らしい!!ミスリルといえば高ランク冒険者がよく装備している剣なんかに使われているな!
ゴブリンライダーを倒しながら『神眼』で壁を探して行く。全部で10個のミスリル鉱石を見つけることができた!これは儲け物だな!
12階層に行くとオークナイトが出て来た。
こいつら鎧をつけていて剣があまり効かないのでインベントリでオークソードを『分解』『構築』してハンマーを作り、ハンマーでぶっ叩く!!
ドロップは肉に魔石と鎧や剣などを落とすので全部インベントリに入れる。
出てくるモンスターは殺して、ドロップは全部インベントリに入れてるから他の人間には真似できない金の稼ぎ方だ!インベントリ最高!
13階層ミノタウルスファイターというミノタウルスの手にゴツいナックルがついている。
これは少し怖いが避けているとなんとなくコツを掴んできたので、反撃だ!
右の大振りの後に隙ができるので腕を切り落とす。そして攻撃できなくなったミノタウルスを斬って倒すとドロップに肉と魔石と時々ナックルを落とすな。
これで余裕で倒せると慢心したのがいけなかった。
さっきと一緒のように避けたのだが、
「グフッ!!」
俺は殴られて壁に激突していた。気づいたらもうすぐ目の前に拳が来ている。
あぁ、ここで死ぬのか…
「てやぁ!」
俺の目の前で拳は落ちてミノタウルスファイターの血で目の前は真っ赤だ。
「おじさん大丈夫?」
と女の子が声をかけてくる。
「ガッ、グフッ!」
「そりゃあ!」
俺は目の前の女の子がミノタウルスファイターを倒すのを見ていた。
「はぁ、ふぅ、で?大丈夫なの?」
息を切らせ女の子が聞いてくる。
「あ、あ」
インベントリからポーションを取り出して飲むと腹の痛さが治った。
「あ、りがとう。おかげで助かったよ」
「おじさん、ミノタウルスファイターはサウスポーもいるから気をつけないとダメだよ?」
だからか!いつもと同じように避けたつもりがサウスポーだからクリーンヒットしたのか!
「わ、わかった!ありがとう!な、なんかお礼を」
「いいよ!私仲間と来てるから!じゃあね!」
仲間と来ていたらしくその子は仲間のもとに戻って行った。
「はぁ、慢心が招いたな。これは罰だ!気を引き締めて行くぞ!」
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