第1話


「ありあとやしたー!」

「ごっつぉーさん」

 別にここに食いにくるのはうまいからだ!

 金は今から稼ぎに行く!

 髭も剃ったし髪も切った。

 服は普通のジャージにダウンだがしょうがない。


 冒険者ギルドに向かうとやはり1月2日に来ているやつはそういない。

 受付に行き、

「あ、あの、更新をお願いします!」

「はい、更新ですね!こちらにおかけください」

「はい!」

 ちょっと興奮してしまったが、なんとか平常心で、

「あの、期限が切れてますが再発行しますか?」

「は、はい!お願いします!」

 やばい、緊張で高い声が出てしまったな。

「はい、それでは写真を撮りますね」

“カシャ”

 は、半目ではないだろうか?


「これで更新手続きは終わりですが他に何かありますか?」

 カードを見るとF級と書いてある。

 カードにはFからSまでの等級がかいてあるのだ。一番下なのは分かっているけどね。

「あとで、剣を登録しに来ます」

「分かりました!お待ちしております」

 よ、よし!なんとかなったな!


 併設している武具屋に寄って剣を見ると…買えないや。

 なんだよ!剣一本で100万円って!!

 そんな金ねーよ!!

 大特価の文字に釣られて見に行くと、あるじゃないか!って、今にも壊れそうだな?


 『神眼』で探ると一本だけ無事な剣が入っていたのでこれにする!

「こ、これください!」

「は、はい、こちらセール品につき返品不可となっております」

「はい!」

「五万円になります!」


 剣は鞘もなくこのままだったのでダウンに包んで受付に行く。

「これの登録をお願いします!」

「は、はい!こちらの剣ですね」

 登録番号を控えて入力する。

「はい、登録は終わりました。ダンジョンに行かれますか?」

「はい!いまからいってきます!」

「それではいってらっしゃいませ」

「は、はい!」

 さすがにヒョロ長いおっさんだから気持ち悪がられただろうけど、俺にはもうそんなの関係ないからな!

 更衣室にダウンを置いて、ゲートに向かう。


 カードを通してゲートを潜るとそこは異世界!ダンジョンになっている!

 迷宮のような石造りの通路だ。

 ジャージの上を着て、剣を片手に持つとしっくりくるな!

 振り回すと剣の悪さがわかってしまうがそこは慣れだろ?

 歩いているとゴブリンが走ってくるので、

「フッ!」

 一閃、普通に倒せたな。

 ドロップ品の親指大の魔石を拾って先に進む。


 先に進むとゴブリンが群でいたので隠れるが、もう見つかっているようだな。

 しょうがないから瞬歩を使ってみると追い越してしまった。慣れが必要だ。

 だが瞬歩を使いながら倒して行くと速さに慣れてくる。

 最後の方は遊びながら倒していた。

 魔石を拾うのが面倒だな。


 こんなに簡単だったかな?

 やはりスキルの恩恵はかなりのもんだな。


 『神眼』を使いながら先に進むと次の階層への階段が見つかった。

 ベースレベルはまだ3だが、いけるだろう。

階段を降りて行くとオークが待っていた。

「フッ!」

“キンッ”

 と剣で弾かれる。

「ヤバイヤバイヤバイ!」

 瞬歩で逃げ帰って大人しくゴブリンでレベルを上げる。


 リポップを待ちながらゴブリンを倒す事5時間。

ステータス!

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

相葉 優アイバ ユウ 33歳

 ベースレベル10


 ビルダーLv15

 剣士 Lv10

 錬金術師Lv1


 スキル

 S構築、S分解、A剣術、S神眼、A瞬歩、S錬金、B精鋭、B集中、C美技、B修得、



 ユニーク

 インベントリ

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

 これならいけるだろう。


 また下に降りてオークに瞬歩で近づき、

「フッ!!」

 首を刎ねることに成功した。

 ドロップは肉と魔石だ。

「はぁ、怖い怖い、こんなのでやられてたら先に進めないじゃないか!」

 引き続き2階層でレベルを上げる。


 『神眼』を使いながら先に進むがもう剣が持つかわからない。次で最後にしようとオークを倒すとオークソードがドロップしたので、なんとかそれで先に進むことにした。

 持ち手はでかいし少し短いので使いづらいが、なんとかなるだろう。

 折れそうな剣をインベントリに入れると、『分解』できそうだったので『分解』して『構築』してみるとさっきより細いが数倍良い鉄の剣になったのでありがたい誤算だ。

 オークソードと交換してオークソードも『分解』しておく、『構築』するのに必要な素材が足りないからだ。


「オークを狩って3時間でようやくまたオークソードが手に入ったな!」

 インベントリで『分解』して『構築』すると『鋼鉄の剣』になったのでこれで問題ない!


 3階層に降りると今度はスケルトンが出てくる。倒すと武器と魔石を落とすのでインベントリにいれていく。

 オークよりやりやすいが数が多いな!

「こなくそっ!」

 流石に8時間労働はキツイ。

 とりあえずモンスターのいないところを見つけてインベントリからペットボトルを出して飲む。

「くぅー!コーラが沁みるな」

 とりあえずまだ頑張れるのでここでもレベル上げをして行く。

 

 3階層でなんとか粘ったがさすがに疲れたので帰ることにする。もう大量の武器が手に入ったので『分解』して『構築』すると、鋼鉄の剣が5本出来たのでヨシとしよう。


 戻ってゲートを潜る。

 ギルドに戻ると受付の人が男の人に変わっていた。

 まぁ、夜勤の人なのだろう。

「魔石を売りたいのですが」

「はい、こちらに出してください」

「多分足りないと思いますが、出しますね」

 カゴに出して行くと、慌てて新しいカゴを持ってくる。

「ど、どれだけ倒したんですか?!」

「あはは、できるだけレベルを上げたくて」

「そうですか、これで全部ですか?」

「あ、あと剣を4本売りたいんですけど」

「出してもらえますか?」

「はい、これです」

 鋼鉄の剣を4本出すとビックリされる。

「これはドロップですか?」

「あ、自分で作りました」

「え?自作ですか?!わかりました、少々お待ちください」

 待たされること三十分…なんか悪いことしたかな?

「お待たせしました。魔石が全部で306個で40万7千円、鋼鉄の剣は『鑑定』したところ問題なかった為、一本50万で鑑定料を引いて40万、合計で200万7千円になります。カードに入れますか?」

「お、おぉ、現金でお願いします」

「分かりました」


 200万越えの現金を久しぶりにもったから手が震える。

「あ、あの、剣の登録をお願いします」

「はい、どちらの剣ですか?」

「これで」

 鋼鉄の剣を登録し、併設された武具屋に剣を預けて鞘を頼む。

 更衣室でダウンを着てから帰る。

「うぅーーーん!!っはぁ」

 夜のギルドからようやく出て来て日付も変わった午前三時。

 コンビニに寄って買い物をして帰宅するともう朝方だ。


「うぃー、乾杯!!ゴクゴクゴクッッカー!!」


 やっぱりビールは美味い!発泡酒じゃないぞ!よし!この調子で休みの間に稼いでこんな会社辞めてやる!!


 今住んでるのは寮なのである程度まとまった金がいるからな!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る