第57話 時は流れ
タワーで生じた一連の戦闘は……
遠山財閥が新設した製薬研究施設フロアでの
実験中の事故ととして処理され、
鬼神は、遠山財閥の資金を裏組織へ
横流しした横領の罪等で逮捕された。
破損していない地上から、50階までのエリアは、
すぐに通常業務が再開され、
鬼神が所有していた会社が
入っていた51階から54階までのフロアは
すぐに修復作業が進められた後は、
隼人が代表を務めるショコラ会社が
入って業務を開始した……。
55階のフロアに立つ、
遠山と村山と美雪……。
「武蔵隊長から聞いております」
村山と美雪が遠山の前で姿勢を正した。
「そうか……55階から58階までのフロアに
君達のオフィスを入れ込んだ……
と言っても、いわゆる隠れ蓑というか……
分室のようなものだがな……」
と遠山が呟いた。
「は、これからも、武蔵隊長のもと、
このドリーム・タウンを『この世の悪』から
全力でお守りします」
村上と美雪が敬礼をした。
「村山隊員、宮野隊員、よろしく頼むよ」
遠山が優しく微笑んだ。
「ところで……彼はどうだね?」
「どうかと言いましても、一般人ですからね」
村山が呟くと、美雪が優しく頷いた。
タワーの上層階に位置する部屋の窓から
眼下に広がる景色を眺める鈴香……。
遠くには、かすかに見えるあの街……。
「俺は、いつか……
この陽の当らない場所から、抜け出して
どんなことをしても、のし上がっていく……」
あの時見た彼の横顔を……
私は忘れない……。
ヒカルが呟き、振り向くとそのまま
部屋から出て行った。
コンコンコン……。
「鈴香お嬢様……?」
メイドが彼女の部屋に入って来て
辺りを見渡すと……。
「はぁ~、またですか……」
と溜息をついた。
「ん? これは……」
テーブルに置かれた手紙を握りしめた
メイドは、最上階の遠山のもとに行くと、
「会長、鈴香お嬢様がいません。
多分……また……でも、今回は……」
と呟くと、彼女の部屋に置いてあった
手紙を遠山に手渡した。
メイドから手紙を受けとった
遠山は優しく微笑むと、
「そうか、とうとう……か。
でも、心配はいらないよ。
彼女には、優秀なボディーガードが
ついてるからな……」
とメイドに告げた。
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