第55話 総力戦
カチ、カチ、カチ……。
引き金を引く音がした。
「畜生……弾切れだ……」
隼人が呟くと村山の顔を見た。
「こっちもだ……」
村山も呟いた。
「どうした、もう弾切れか?」
傭兵の一人が、笑いながら二人に
接近してくるのがわかった。
隼人は、懐に忍ばせていた
サバイバルナイフに手を掛けた。
ドドドド……ドドド……。
「うううう……」
ドサッ……。
傭兵の身体が撃ち抜かれ、床に倒れ込んだ。
「弾切れなんかじゃないわよ……」
隼人と村山が後ろを振り返ると、
機関銃を手にした美雪、そしてレイとコトが
立っていた。
「美雪……。サンキュ」
隼人が呟くと、コトとレイが隼人と村山に
拳銃と弾薬を渡した。
パンパンパン……。
ドドドド……。
傭兵の数に対して、隼人と村山、
そして、コト、レイ、美雪……
圧倒的に不利な状況の中、
激しい銃撃戦が始まった。
「隼人……鈴香さん……
ヒカルさんは屋上のへリポートにいる
レイとヒカルを連れて早く行って……」
「でも……村山と美雪ふたりだけじゃ……」
隼人に迷いが出た時だった。
「心配いらないよ……」
村山が微笑んだ。
ドドーン、ガシャン、ガシャン……
物凄い爆音とともに、重厚なガラスに
ヒビが入ると、そこに数発の弾丸が撃ち込まれ
一気にガラスが砕け落ちた。
最上階で吹き荒れる風……
ドドドド……ドドドド……
大きく穴が開いたガラス窓の向こうには
ホバリングを続けるヘリコプター。
ガラガラガラ……
ヘリのドアが開くと、
男女のスナイパーが傭兵に
焦点をあてていた。
パキュン、プス、プス……。
パキュン、プス、プス……。
銃声と共に、数人の傭兵が倒れ込んだ。
女性と男性が、隼人達を見ると微笑んだ。
「あ……」
隼人が呟くと同時にレイが……
「おばちゃん~。狙撃もできるの? 凄い~」
と叫んだ。
ライフルを構えたスナイパーの正体は、
コトの店の厨房の親分格で、レイにショコラティエ
の手ほどきをした『通称おばちゃん』と
ヒカルのお尻を触ったおじちゃんだった。
感心するレイと驚く隼人とコトに、
「年はとっても、腕は落ちてないんだよ」
と言うと、ライフル銃を構え傭兵に向けて
連射し始めた。
「おばちゃん~、かっこいい~」
興奮するレイ……。
「美雪、久しぶりだね。村山さんも……」
「ねえさん、お久しぶりです」
と美雪が呟いた。
「敵が、一斉攻撃をしかけてくるぞ」
後ろから、店長こと副隊長の声がした。
ライフル銃を構えたおばちゃんとおじちゃん、
そして、自動小銃を構えた村山と美雪。
「隼人、ここは私達に任せな……
あんたとレイとコトは、ヒカルを助けに
行きな……」
おばちゃんが呟いた。
「3……2……1……GO」
副長の声と共に銃撃戦が再開された。
隼人と、レイとコトは
銃撃戦の中、屋上のヘリポートを目指した。
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