第36話 そして、舞台は……

  次の日の早朝、

 朝霧が立ち込める頃……

 バイクにまたがる隼人。


 「兄貴、気をつけて……」

 「ああ、レイもしっかりと傷直せ!」

 「なんかあったら、絶対連絡してよ」

 「わかったよ」


 「隼人……無茶はしないで」

 コトが隼人の首に抱き着くと、

彼の唇に自分の唇をそっと重ねた。

 ヒュ~、レイが口笛を吹いた。

 「コト?」

 隼人がコトの目を見つめると

コトは、隼人から慌てて離れ、


 「ちゃんと、無傷で帰ってきたら、

私の身体をあげるから……」

 と言った。

 

 コトの言葉を聞いた隼人は、

 「だから、コト、俺はおまえには

指一本触れないんだ!」

 と笑って彼女の頭に手を置いた。


 「じゃあな……」

 そう言うと隼人はバイクの

エンジンをかけ、二人の前から

走り去った。


 隼人の後ろ姿を彼が見えなくなるまで

見送るレイとコト……。


 ただ、ただ、ヒカルと隼人の無事を

祈るのみだった。



 隼人は『片陰の街』を後に、

ドリーム・タウンへと向かう。


  

 そして、物語の舞台は『ドリーム・タウン』

へと移っていく……。

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