第30話 プレゼント

 片陰の街に車が停まり、

隼人とレイ、そしてコトが

後部座席から降りると、

助手席からは村山が降りて来た。


 「もう、あんた達と会うことは

ないな……」

 隼人が呟く。


 「そうだな。金輪際、おまえ等と

会うことはないだろうな……。

 おまえ等はこの陽の当たらない街が

良く似合う……。

 だが、もしも仮におまえに

また会うとしたら……

 おまえが底辺からのし上がって来た

時だろう……。

 でも、奇跡が起こらない限り、

あり得ないことだがな……」


 「どういう意味だよ……」

 隼人が口を尖らせた。


 「そのまんまの意味だよ」

 村山が微笑んだ。


 車に乗ろうとした村山が振り向くと、

スーツの内側から包みを取り出し、

隼人に向かって投げた。


 パサ……。

 村上が投げた包みを両手で受け取った

隼人が彼に尋ねた。

 「なんだよ……これ……」

 

 隼人が包みを開けると、中から

サバイバルナイフがでてきた。

 少し驚いた隼人が、村上を見ると、

 「これは、私の個人的なあなたへの

プレゼントです……。

 そのうち、きっと役に立つ……」

 村山はそう呟き車に乗り込むと、

車はドリーム・タウンへ帰って行った。

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