第18話 近づく闇

 「K、あの街を取り仕切っている神谷武蔵という

男に依頼してきたよ。彼女の写真を預けてね」

 

 「そうか、すまなかったな」

 「あの街を隅々まで探してくれるそうだ……

しかし、彼女が姿を消して数日が経つ。

 あの街に紛れ込んでるのなら、すぐにでも

見つかりそうなもんだがね……。

 なにせ、血統がちがう。

 あの街の者ではないのは一目瞭然だ、

あの街の住人に金をちらつかせれば、

すぐにでも差し出すんじゃないのか?」


 「そうだろうな。

 でも、俺は彼女を見つけ出して、

確かめたいことがあるんだ。

 会長より先に……。

 今すぐにでも確かめたいことが……」


 「珍しいな、Kがそこまで言うとは……

よっぽど大事なことなんだろうな? 

 で、俺にはそれを教えてはくれないのか?」


 「……」

 「まぁ、いいさ。でも、K、おまえの本当の正体を

知ってるのは俺だけだから……そのことだけは

覚えておいてくれよな」


 

 陽の当らない街に、

 暗闇からの使者が舞い降りようとしていた。

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