第13話 遭遇と再会
──死界深部──
『マスターの意識レベルの低下を確認、緊急措置を開始。マスターの魔力を使用し、隠匿領域を展開。』
アルマの周囲に翡翠色に淡く輝く領域が展開される。
『続いて甲帝のスキルによる成長促進をより強化するための領域を重ねて展開。』
翡翠の領域が紫翠に変化する。
『…私にできるのはここまでです、あとは
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side アルマ
目が覚めると視界いっぱいに鬱蒼とした木々な広がっていた。
「…どこだここ…ッ!?」
俺は声が出せたことに驚いて飛び起きて自分の手を確認する。
「人間の手…?」
俺の身体は人間のものに戻っていた、俺はとにかく情報を得ようと周囲を見回す。
「……死界…じゃない…?」
死界とは違う森、俺の見たこともない植物しかない。
『目が覚めたか?』
俺の後ろから声がしてバッと振り向く。
そこには人型の影が切り株に腰掛けていた。
『安心しろよ、お前はまだ死んじゃいない。』
「まだ…ね。」
『ククク…そう、まだ、だ。』
比喩でもなんでもなく、ホントに人の形をした影が座っている。
しかも、声が老若男女全てで聞こえてくるのが余計に不気味さを助長させる。
「なんだお前。」
『いい質問だ。誰かではなく何か、か。』
(きっとここは現実じゃない。俺が前世の身体なのもそうだし、目の前の
『流石にイイ勘してるぜ、お前。』
嬉しそうに笑いながら影はそう言った。
心まで読まれたことでより一層俺の中の疑念が確信に変わっていく。
「お前が俺をこっちに呼んだのか?」
『──正解だ。』
「…理由は。」
『ほぉ…冷静だな。』
「異世界なんだ、いまさら狼狽えたりしないさ。」
『ハッハハハ!結構結構、ちゃんと異世界ライフを楽しんでもらえてるみたいだな。それじゃあ本題に入ろうか。』
影がそう言った瞬間空気が重くなる。
『オレがお前を呼んだ理由はとある人間どもを殺して欲しいからだ。』
「…何か特殊な境遇の人間なんだな?」
『イイねェ!その通りだ!お前に殺して欲しいのはお前と同じ──』
『──異世界人さ。』
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──死界深部──
『(マスター入眠から1週間、前回の進化の際は半年間眠っていました…しかし今は巣の外、長期間眠るのは非常に危険、どうにかできないものか…)』
ガサガサと近場の草陰が揺れる。
『…マズイですね。』
そこからヌッと現れたのは片方の目に古傷を持った深紅の毛並みの熊だった。
『(なんてこと…!ここであの時の熊型モンスターに出くわすなんて…!!)』
巨熊はアルマに近付いてフンフンと鼻を鳴らし匂いを嗅ぐ素振りを見せる。
『(隠匿結界を容易に看破された…すみませんマスター、せめて冥府までご一緒します。)』
シエルがアルマと心中する覚悟を決めたその時…なんと巨熊がアルマの傍らで昼寝を始めた。
『………?』
シエルは現状に理解が及ばずフリーズした。
『これは一体…』
シエルは目の前の巨熊が理解ができなかった。
最初はなんてことない行動だった。
定期的に狩りに出て何体か食べるとまたマスターの傍で眠りにつく、その繰り返しだった。
しかし、シエルは気付く。
この巨熊は…
『(……不思議ですね、私には感情など無いと思っていたのですが…
そんなシエルの考えをまるで知らない巨熊は大きな欠伸をして再び眠りにつく。
熊の鼻先にヒラヒラと綺麗な蝶が止まる。
『(悪くない気持ちです……マスターのことをしばらくお願いしますね、クマさん。)』
などと呑気に考えていたら、熊の持つ性質なのか鼻先の蝶は焼けて灰になった。
『……強力なボディーガードと考えればこれはこれで。』
シエルは都合よく解釈することにした。
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