第20話
私は朝食を食べ終えた後、すぐに店に出た。秘密の抜け道は相変わらず湿っぽくて陰気臭い。
この通路を使うのも、もう慣れた。
そして、学校に行く時と同じ路面電車に乗る。
「学校前駅までお願いします」
車掌に切符を渡す。
「承知しましたお嬢さん」
車掌は切符に穴を開けてボックスのシートに案内した。
私が座った瞬間ベルが鳴り、列車がおもむろに動き出す。
列車は駅に向けて走り出す。
列車にはドアが無く、隙間風がみるみる入ってくる。三月の心地よいささやかな風がなびく。
「次は、学校前ー。学校前ー。」
「降ります」
私が列車を降りるとベルがなり、西の地平線へ向かって動き出した。
呉服屋は学校のすぐ向かいにあり、迷わなかった。
呉服屋は三階建の非常に大きく趣のある外観だった。
回転式のドアから中に入った。
「いらっしゃいませ」
私は店員がいるカウンターに向かった。
「制服の採寸をお願いしたいのですが」
「王立魔法学校へのご入学のお客様ですね。この度は合格、誠におめでとうございます。こちらへどうぞ」
私は2階へ案内され、採寸された。
採寸が終わり、次は3階の応接間に案内された。
「ではこれから、制服のデザインを決めてまいりましょう。王立魔法学校は校章とアカデミックな服装ならどのようなデザインでも問題ありません。何かお好きな色やデザインはありますか」
「特にありません。お任せでお願いします」
「そうですね。お客様は黒髪ですので、赤や青がお似合いかと思われます。どちらの色がお好みでしょうか」
私はジョウンに赤が似合うという言葉を思い出した。
「赤でお願いします」
「承知しました。赤色で流行のデザインのものをお持ちいたします」
「お待たせいたしました。こちらのデザインはいかがでしょうか」
店員は赤色の少し派手で可愛いすぎるデザインのドレスを持ってきた。
「すみませんもう少しシックなデザインのものをお願いします」
「承知しました。本日の午後までに、新しいデザインのドレスを完成させておきますので、16時以降お越しください」
「わかりました。ありがとうございます」
私は店を退店した後、路面電車を捕まえた。
「終点までお願いします」
「承知しました」
昼時なのも影響し、かなり混雑していた。席も全て埋まっていた。
私は出入り口付近のポールにつかまった。
列車にはドアがないのでスカートが風吹き、フリルがコマのようになびく__。
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