第18話
ケーキのいちごが、照明の光を反射し、その美味そうな、みずみずしい艶やかさが食欲を引き立てる。
「これを私に?」
「当たり前だろ?」
「ありがとうございます。ケーキを食べたの母が買って来た、ショートケーキ以来です」
「そうか……さて、切り分けようか」
「まさか……このホールケーキを2人で食べるんですか?」
「そうなるな。今日から、ケーキざんまいだな!」
いくらケーキが久しぶりだからと言って、それは流石に飽きるだろう。
「さぁ、席につけ」
私はギスギスと音が鳴る椅子に腰掛けた。その間にジョウンは紅茶を淹れはじめた。
「そうだ、このマグカップ、お前にやるよ」
飲み口が欠けた古めかしいデザインのマグカップ。
欠けてもなお、このカップを使い続ける物を大切にするジョウンの精神性が現れている。
「そういえば、どうだったのか?魔法学校の試験は」
ジョウンは紅茶を注ぎながら、私に問いかける。
「私を特待生として迎え入れたいそうです」
「それはすげぇーな!!」
危うく死にかけたところだったのだが……。
「やっぱフォンセに話しておいて正解だったな。お前の魔力はやっぱピカイチだったんだな」
「もしかしてフォンセ先生とお知り合いですか」
「あぁ。俺があの学校にいた時からの旧友でな。
そういえば、話は変わるけど、入学するのか?」
「はい。私が魔法を使う時、母の幻影が見えました。このまま魔法を勉強すれば、母に会える手がかりが見つかるかも知れない……」
「良かった。お前なら入学してくれると思ったよ」
「そうと決まったら、次は買い出しだな。入学まであと1週間しかない。制服や教科書や私服、あと筆記用具……」
「筆記用具はこのまま万年筆を使い続けます。あと、それにインクが欲しいです。いいインクを売っている店を知っていますか」
「あぁ。老獪な爺さんがやってる店が西のハズレにある。明日、地図をやるから行ってこい」
私は頷いた。
そのあと、私はジョウンに今日あった出来事や、私の魔法など、小一時間程話した。
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