第13話
「まず、私とジャスパーさんでモンスターツリーの気を引きます。その間にシリルと、ガーネットはそれぞれ氷と炎の魔法を唱えて、水蒸気爆発を誘発させます。できる限り、自身の限界まで魔法を出して火力を高めて下さい!」
「オッケー!俺たちはビクトリアに助けられたんだ!
それくらい朝飯前だよな!シリル!」
「そうだね。頑張ろう!ガーネットくん」
「ジャスパーさん、私たちもシリルとガーネットが全力を出せる様に、より多く時間を稼ぎましょう」
「ボクが引き立て役になるのは少々気が引けないが、これも合格の為だ」
『ぐぉぉぉぉ!!!!』
モンスターツリーは私たちに襲いかかってきた。
「かかってこい!この化け物!」
ジャスパーはモンスターツリーの猛攻を魔法で受け止める。私はジャスパーが攻撃を命中させやすくするため、必死にモンスターツリーの気を引いた。しかし、
「ぐぁぁぁ!」
ジャスパーがやられた。
「ジャスパーさん!きゃぁぁ!」
モンスターツリーが私の心臓を狙って触手の様な木の枝を突き刺す。私は辛うじて両手で受け止めていたが、それは絶体絶命だった。
「シリル!ガーネット!今よ!」
「「いくよ!ビクトリア!」」
『Basic flame!!!!!《基礎 炎》』
『Basic Ice!!!!!《基礎 氷》』
私は急いで、モンスターツリーの触手を薙ぎ払い、逃げ切った。
激しい、凝縮された氷に、燃え盛る温度の高い炎が合わさることによって大きな爆発を引き起こした。
モンスターツリーは木のクズとなって散った。
「「「いやったぁ!」」」
「喜んでる場合じゃない」
ジャスパーは喜びもせずに冷静に言った。ちょっと広角が上がっていた様な気がしたが。
「ジャスパーの言う通りだね!先を急ごう!」
シリルが懐中時計を閉じて言った。
私たちは全速力でゴールに向かった。
「ねぇ!あれゴールじゃない!?」
私はついにゴールの旗を見つけた。
「よっしゃ!ガンダッシュ!」
「もう!無理だよー!ガーネットくん!」
「諦めんな!シリル!」
ガーネットはシリルをおんぶした。
「5、4、3、2、1……宝物を持っていますね。本当、ギリギリでしたね。全員合格です」
私たちは寸前でゴールした。
「やったぁ!ゴールだよ!ガーネットくんっ!あれ?大丈夫?」
「ハァハァもう無理!」
「先生!あの魔物はなんですか!?ボクたち死にかけたんですよ!」
ジャスパーは試験官に文句を言っている。
「何を言っているのですか?魔法使いなら、あれくらいの魔物など、倒せて当然でしょう。自分の魔法に自信がないのなら、辞退してもよろしいのですよ。受験番号No.182番、ジャスパーさん。
では、合格者は至急、集合して下さい!」
先生は杖を一振りすると、魔法の迷路はみるみるうちに消えていった。
合格者は片手で数えられる者しか残っていなかった。
「今から10分間、休憩と致します。
その後、この場所で、個人の魔法実技テストを行います。では解散」
「いやぁ!疲れた!なぁ?みんな?あれビクトリア?」
私は疲れ果てて眠ってしまっていた。
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