第10話
「なぁ、俺ら、同じ年齢なんだしタメ口でよくねぇーか?」
ガーネットが言った。確かに、私を含めてこの4人はほぼ年齢が同じだ。
「勝手にしろ」
ジャスパーはどうでも良いようだ。
「うん!私も賛成」
「……そうだね……」
シリルは私の後ろで、もじもじしている。多分、大勢の中に放り込まれると、喋る事が苦手になるタイプの様だ。
「シリルちゃんは人見知りなんだね!」
「……ぼく、男の子だよ!!!」
シリルは急に口を尖らさせて言った。
「え?男なの!?」
「ボクも女性かと思ったよ」
ジャスパーとガーネットはシリルを女の子だと勘違いしてたらしい。
「もぅ!みんな何言ってるの?!」
「まぁ、シリル、そんな事もあるよ」
私はシリルを慰めた。
ヨシヨシ。
「へへっ!冗談だって!」
「もぅ!やめてよね!」
シリルとガーネットが言い争っている最中、後ろから、黒い影が伸びていた。生垣の枝が魔法によって中心へ集められて、ひとつの木に形成されていた。
「あれも冗談だと思うか?」
ジャスパーは後ろを指差して言った。
「「モンスターツリーだ!!!」」
巨大な腐りかけた幹に、顔があるモンスター。目が赤い。ゴーレムと同じく、敵対心が剥き出しの様だ。
「なぁジャスパーどうする!?」
「さぁどうしようか」
「ノープランかよ!!」
「ツッコんでる場合じゃないよ!ガーネットくん!」
シリルも意外とノリが良い様だ。しかし、こんな事を思ってる場合じゃない。
「宝石の光はこの向こうを指してる。きっとこのモンスターを倒せないと進めないと思う!」
「みんな、構えて!」
シリルが言った。
ガーネットは木製の杖、シリルは懐中時計、ジャスパーは銀製ナイフを構えた。
私も万年筆を恐る恐る構えた。
今の私にできることはきっとないだろう。
そう、落胆しながら。
モンスターツリーは雄叫びをあげた。
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