第9話


 「シリルさん、さっきはどうもありがとうございました。私、あんなモンスターに遭遇したのはじめてで」


「……多分あれも魔法だよ。これも試験の一貫」


「魔法であんなのも作れるんですね。私、魔法使った事なくて……」


「えぇ!魔法使った事ないのに、試験を受けてるの!?」


「えぇ、これには訳があってね……」

危うく、この世界に迷い込んだ事や、ジョウンの事を言うかと思った。


「ちょっと待って、宝物、ここら辺に埋まってるかも……」

私は、上手く話をそらした。だが、地図はここら辺を指している。間違いない。


「多分ここ」

私は地面を掘り出し、宝物を見つけようとした。


「ぼくも手伝うよ」

「ありがとう、シリルさん」


「みつけた!」

「本当だ!綺麗だね!」


私たちは橙色の淡い、夕焼け色に乱反射する宝石を掘り出した。


「綺麗な宝石……!」

「シトリンだよ!綺麗だね!」


シトリンを太陽に掲げると、一方方向に光が伸び、出口までの道しるべを指している様だった。


「シリルさん、これ、出口までの経路じゃない?

「きっとそうだね!行こう!」


私たちはゴールに向かって走り出した。



「お〜〜〜い!!!」

遠くから声が聞こえた。

亜麻色髪の少年とお坊ちゃんのグループだ。

「どうだ?見つけられたか?」

「私たちはシトリン。」

私はシトリンを見せた。

「へぇ!綺麗だね!俺たちはガーネット、俺の名前と同じ宝石だ!」


どうやら亜麻色髪の少年は“ガーネット”と言う名前らしい。

「これってこの光が指してる方がゴールなんだよね?」

「私たちもこの光の先がゴールだと思ってます」

「やった!じゃあ一緒に進もう!」


「ちょっと待った。それで失格になったどうするのさ?」

金髪のお坊ちゃんは他党を組むことに懐疑的な様だ。

「……た、多分、大丈夫だと思います……」

シリルは賛成な様だ。

「お!君もいいと思う?だってさ、ジャスパー」

金髪のお坊ちゃんは“ジャスパー”と言う名前の様だ。

「やれやれ」

「私もいいと思います!この試験は協調性や状況判断能力を採点されているんだと思います。それに私たち、方向音痴だったので……//」


私とシリルは顔を赤らめてしまった。


ジャスパーはため息を交わしながら、言った。

「いいか?これで不合格だったら責任をとってもらうからな。行くぞ」


ジャスパーは我先にと行ってしまった。



私たちも後を追いかけた。


       

        《解説》

シトリン 石言葉=「友愛と希望」「友情」

ガーネット石言葉=「情熱」

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