文章は滅茶苦茶なのに、なぜか読みやすかった作品の思い出

 私は「トップページ恐怖症」ですので、読む作品は自主企画のリストから探すか「読み返し」で興味を持った作品を拝読することが多いです。今回は、その「読み返し」の際に出合った作品の思い出です。〝良い意味〟での思い出ですからね。



 その作品の作者さまは、私の代表作にいきなり★を付けてくださった方でした。しかしながら、その時点においては「単純に営業目的で★だけを投げた」のか、「読んだけれど♡は付けない主義」の方だったのかといった判断は出来ませんでした。


 とはいえ結論から申しあげますと、〝前者〟でした。なぜならその作者さまは「BAN」されてしまったためですね。「BAN」と「退会」のどちらであるのかは、対象のユーザーを予めフォローしておくとわかります。


 退会の場合はフォローリストから名前がなくなりますが、BANの場合は名前が残り、リンクを踏んでも「存在しない」と表示されるわけですね。


 もしかするとBANされたユーザーのデータは「残ってはいるが、運営以外にはアクセスできない状態」といった感じに、隔離されているのかもしれません。


             *


 はい、話が逸れかけておりますので「作品」の話に戻します。当時の私は「お礼」の意味も兼ね、すぐにその作者さまの作品を拝読に伺ったわけなのですが――。


 とても面白かったんですよね。その作者様の作品が。私が読みにうかがった段階で★100を超えておりましたし、間違いなく名作です。



 その作品は「独特の文体」で執筆されておりまして。「一切の句読点が無かった」んですよ。文章の区切りが〝どこ〟なのかすらわかりません。


 小説の記法が、文法の基本が、などといった〝それ以前〟の文体です。それなのに、とても読みやすくて面白かったんです。


 まるで「作者の頭の中をダイレクトに読み取っている」かのような、唯一無二の没入感でした。ストーリーもしっかりとしており、設定も良く練りこまれておりました。世界観も素晴らしく、印象に残る言葉や単語も登場しておりました。



 実は、レビューも用意していたんですよね。私はレビューを書く際、作品の「下書きページ」に予めレビュー文を書き、推敲した上で投稿しております。


 他者さまの作品にお邪魔するわけですからね。

 まずは一度〝こうする〟ことで、客観的に自分の文章を見るためです。


 そのレビューは、次に作品が更新された際に、投稿させていただこうと思っておりました。文体は滅茶苦茶なのに本当に面白く、あっという間に最新話まで読みきってしまったんですよ。10万字はあったかと思います。


 ですので、次に更新された時には是非――と思っていたのですが、私が書いたレビューが示す作品は、もう失くなってしまったんですよね。


 ちなみにですが、このお話を「別の場所」にて投稿した際、フォロワ様からのコメントにて、「〝なろう〟で読むことができる」と教えていただきました。また、そちらでは「普通の文章」になっていたそうです。もしかするとカクヨム版は、「プロットをそのまま出した」といった状態だったのかもしれませんね。



 とはいえ、「あの文体」だったからこそ、唯一無二の「良さ」があったのかもしれません。例えるならば、文字を指でなぞるとダイレクトに頭に入ってくるような、どこか未来的で、これまでに体験したことのないような感覚でした。



 私がカクヨムでの投稿をはじめる前、『ミストリアンクエスト』のプロットを改行もカッコも入れずに「メモ帳」へ書き記していたのですが。もしかすると、あれを他人が読むと同様の感覚が味わえたのかもしれません。


 しかしながら、私が書いていたものはあくまでも「メモ」です。くだんの作品は「殴り書き」のようでありながらも、しっかりと「他人に読ませる物語」として成り立っていたんですよね。本当に不思議です。


 とても真似ができません。まさに天才的だったと思います。

 ゆえに惜しい、悲しい。そして寂しかったですね。



 ――と、いうわけでして。


 今回は、不思議な作品の思い出の話でした。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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