ヤリチン外郎売は性病を患う(カリ)

いぬがみとうま

プロローグ 外郎売の口上

拙者親方と申すは、

ちあいのうちに、ご存じのお方もござりましょうが、

チンコが勃って二十里上方、

相州吉原一色町をお過ぎなされて、

青物町を登りへおいでなさるれば、

淫乱橋虎屋藤右衛門いんらんばしとらやとうえもん

只今はチン毛を剃毛致して、珍斉ちんさいと名乗りまする。

元朝がんちょうより、大晦日おおつごもりまで、

お手に入れまする此のバイアグラは、昔ちんの国の唐人、

外郎という人、わが朝へ来たり、

帝へ参内さんだいの折りから、

このバイアグラを深く籠め置き、

もちゆる時は一粒いちりゅうずつ、

ふんどしのすき間より取りい出す。

よってその名を帝より、『とうチンコ』と賜る。

即ち文字には

「当たり、珍しい、娘」と書いて「とうチンコ」と申す。

只今はこのバイアグラ、ことほか、世上に弘まり、

方々に偽看板をいだし、

イヤ、即フェラの、ストロークフェラの、裏筋フェラの、バキュームフェラのと、

いろいろに申せども、

ひらがなをもって、「しゃくはち」と記せしは、親方珍斉ちんさいばかり。

もしや、お勃ち会いのうち赤線あかせんか鶯谷へ

風俗にお出でなさるるか、

またはブルーシャトーの折からは、

必ず門違かどいなされまするな。

のぼりならば右曲がり、おくだりなれば左曲がり、

八方塞がり、三つ子の魂百までキンタマ潰れ。

病院ではカリに白い粒の突起のコンジローマがあって、

処方されたしは抗生物質でござる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ヤリチン外郎売は性病を患う(カリ) いぬがみとうま @tomainugami

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る