第一章 指名者なき手配書(7)

~五月十四日㊙~

 日曜日の午後。前津高校のとある教室。そこは俺たちの基地であり、船の代わりでもあった。

「さてと、集まったな」

「呼び出しといて遅れてきた人がよく言うよ~」

「ふぁあ、せっかくの睡眠の時間だったのだが」

「お昼まで寝るのはよくありませんよ?」

 スポーツウェアに身を包み青いリボンをした高身長の女子【アスリート】がやれやれといった様子で茶化し、アイマスクを額にあげた紫のヘッドホンを首から下げた男子【ドクター】があくびをしながら言うとメイド服に身を包んだ女子【メイド】が子供を優しく叱るように口を尖らせ言う。

 まあいつもこんな感じだから気にすることはない。

「それでどうだった。各自一度は会ったんだろ?」

 話を長くするのもあれだから早速本題に入る。

「なかなかいい子じゃないかな? 友情を大切にする子は嫌いじゃないよ」

「いい実験台になってくれそうだ」

「それはいけませんよ。でも、とてもいい方だと思います」

 皆から出てくる言葉は好感触を現すものだった。俺が見つけてきたやつだから全員がそう言うのも納得だし、多少の不満があったところでそれくらい共に過ごせば気にならなくなるはず。

「明日からはどうするんだい?」

「そりゃあ、俺が直接乗り込む‼」

「出会いがどうだったかは分かりませんがそれでは委縮してしまうのでは?」

「アハハハ、言えてる。いきなり現れたら逃げちゃうんじゃない?」

 こいつら船長に対する礼儀がなってねえな。いや、一人を除いて礼儀なんてものを求める方が酷だ。

「じゃあ、乗り込むのはなしだ。お前ら、明日はいつもの場所にいんだろ?」

「えっと…… 明日は陸上部にいる」

「わたしはいつも通りだ」

「お茶を淹れてお待ちしています」

 まあ全員いつも通りか。じゃあ校庭から回って校内ってところか。乗り込む方が海賊っぽいが威圧感を与えても仕方ない。

 最後のテストも兼ねて一つだけ試練を加えるか。

「待ちに待った後輩さん。楽しみです!」

「ずっと心待ちにしてたもんね。ま、あたしもだけど~」

「二人から始まり思えば増えたな」

「これで目標人数クリアだ」

 仲間を多く作るより少数でも質と俺が見込んだやつを四人くらい集める。最初に結成した時から決めていたことだ。まさか最後の一人を探し出すまで一年かかるとは思ってもいなかったが。

 遂に始まる、俺たち学園海賊の時代が!

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