第二六章 勇者専用情報掲示板にて
【デスゾンダンジョンについて知ってる人いますか?】
0001: トピ主
デス子&ゾンビダンジョンの攻略を検討しています。
あまりにも情報が少ないのですが、何か知ってる人いませんか?
0002: 通りすがりの勇者
つ デス子ちゃん&ゾンビくんのほのぼのチャンネル
0003: トピ主
そこは見てます。
0004: 通りすがりの勇者
やめとけ。
0005: 通りすがりの勇者
デスゾンダンジョンなんて最初からなかった。いいね?
0006: トピ主
何か知ってたら教えてください。
0007: 通りすがりの勇者
あそこはデス子とゾンビとセレニアって勇者が爛れた生活してるだけの場所やぞ。
0008: 通りすがりの勇者
行くだけ無駄だからやめとけ。
0009: トピ主
ゾンビを倒して自分が代わりにエッチなことしたいです。
0010: 通りすがりの勇者
おう……。
0011: 通りすがりの勇者
真面目に言ってる?
0012: トピ主
変ですか?
ダンジョン危険度1ですよね?
ゾンビも見た目は普通の人間みたいですし。
0013: 通りすがりの勇者
命知らずの勇者がいると聞いてやってきました。
0014: 通りすがりの勇者
デスゾンチャンネルかセレニアチャンネルの視聴者いる?
0015: 通りすがりの勇者
ノ
さすがにROM専やけど。
0016: 通りすがりの勇者
良かった。
勇者のくせに魔族のチャンネル見てんの良くないかなと思ってちょっと不安だった。
0017: 通りすがりの勇者
俺はセレニアチャンネルしか見てないよ。
0018: 通りすがりの勇者
嘘乙。
0019: 通りすがりの勇者
すまん嘘だわ。
0020: 通りすがりの勇者
まーあくまで魔族側の情報収集だよな。
0021: 通りすがりの勇者
そうそう。
今ダンマス連合とか言うのとも揉めてるっぽいし、情報収集マジ大事だから。
別にエロ目的とかじゃないから。
0022: 通すがりの勇者
嘘乙。
0023: トピ主
デスゾンダンジョンについて教えて欲しいんですが……。
0024: 通りすがりの勇者
配信見てんなら分かるだろ。
0025: トピ主
最近見はじめたんです。
0026: 通りすがりの勇者
あー。ヘカトンケイルとやってるやつ見た?
0027: トピ主
見てないです。ヘカトンケイルってなんですか?
0028: 通りすがりの勇者
じゃあ、この前のダンマスが攻めてきたやつは?
0029: トピ主
見てないです。
0030: 通りすがりの勇者
コイツ何なら見てるんだ?
0031: 通りすがりの勇者
エロしか興味ないスタンス草。
0032: 通りすがりの勇者
マジでやめとけ。エロいの見とくだけにしとけ。
0033: トピ主
そんなにヤバいんですか?
0034: 通りすがりの勇者
まずは上級守護者を5体以上用意しましょう。
0035: トピ主
中級じゃダメですか?
0036: 通りすがりの勇者
別にダメとかはないけど。
0037: 通りすがりの勇者
それから筆頭勇者候補に匹敵する力をつけましょう。
0038: トピ主
演習用ダンジョンではクリア判定A取ってます。
0039: 通りすがりの勇者
いや筆頭候補認定は最低でもSからだろ?
0040: 通りすがりの勇者
ちゃんと読んでる?
0041: 通りすがりの勇者
話聞く気なさすぎワロタ。
0042: 通りすがりの勇者
ちなみにセレニアはSSSやぞ。
0043: 通りすがりの勇者
マジで? そんなに凄かったんだ。
0044: 通りすがりの勇者
たまたま講習んとき一緒やってん。別次元の強さやで。
0045: 通りすがりの勇者
あの噂、マジなん?
講習の会場で因縁つけてきたやつをその場で半殺しにしたってやつ。
0046: 通りすがりの勇者
マジやで。
仲良くなった教官が言っとったけど、伯爵家の出自だから許されただけで普通なら勇者の資格剥奪されててもおかしくなかったって。
0047: 通りすがりの勇者
血の気多すぎワロタ。
0048: 通りすがりの勇者
ちなみに上のような条件を揃えた勇者を正面から瞬殺してくるのがゾンビです。
0049: トピ主
意味がわからないです。自分のこと馬鹿にしてますか?
0050: 通りすがりの勇者
まあ、意味が分からんという点だけは同意する。
0051: 通りすがりの勇者
とりあえずお前は自分が思ってる以上に馬鹿だからまずは冷静に上から読み返せ。
0052: 通りすがりの勇者
死にに行くようなもんやぞ。
0053: トピ主
もういいです。ここは役に立たない人ばっかりですね。
0054: 通りすがりの勇者
あーあ。
0055: 通りすがりの勇者
トピ主死んだ?
0056: 通りすがりの勇者
いや、普通に追い出されとったよ。
0057: 通りすがりの勇者
追い出すとかあんの?
0058: 通りすがりの勇者
ほんとに担いでダンジョンの外に捨てられてたよな。
0059: 通りすがりの勇者
あのときのコメ欄の盛り上がりはヤバかった。
0060: 通りすがりの勇者
マジかよ。見たかったな。
0061: 通りすがりの勇者
アーカイブ残らんからなー。
あまりに雑魚すぎると相手すらされないらしい。
0062: 通りすがりの勇者
まあ今回はゾンビだけやったからな。ゾンビ基本的に優しいし。
0063: 通りすがりの勇者
デス子とセレニアは何してたん?
0064: 通りすがりの勇者
セレニアは寝てたし、デス子は鍋の様子見てたんじゃね?
0065: 通りすがりの勇者
ゾンビくんずっと鍋のこと気にしてたよな。
0066: 通りすがりの勇者
鍋?
0067: 通りすがりの勇者
ポトフ作ってたらしい。
0068: 通りすがりの勇者
料理チャンネルはじめたのか?
0069: 通りすがりの勇者
あのチャンネル、マジで方向性が意味不明すぎる。
0070: 通りすがりの勇者
いや、方向性はハッキリしてるだろ。
0071: 通りすがりの勇者
エロだよな。
0072: 通りすがりの勇者
エッチですね。
・
・
・
※
「ん……なんか良い匂い……」
ポトフの匂いにつられてか、ベッドの上でセレニアがモゾモゾと寝返りを打って体をこちらに向けてきた。
「……っ! 何を夫婦っぽいことしてるんですか!」
そして、ガバッと体を起こした。
どうやら、お玉を片手に鍋の様子を見ているデス子と調理器具を洗っている俺の姿がそのように見えたらしい。
「まァ、わたしたちは実質夫婦みたいなものだからねェ」
デス子が肩越しに振り返りながら、勝ち誇るような笑みをセレニアに向けている。
いや、どちらかというと親子のような気がするが……。
「お、親子でエッチなことをしちゃうのかい!? は、背徳的なこと言うなァ……」
「なるほど、死神と使徒はある意味で親子と言えるかもしれないものね……じゃあ、やはり騎士さまの正妻はわたしということで」
「ふんっ! 夫と姑に食事を作らせて自分はグースカ寝てるなんて、ろくでもない嫁もいたもんだねェ!」
ああ、別に嫁ポジションにこだわりはないんだ……。
「いやァ、ゾンビくんが息子だと思ったら余計にエッチな気がしてきて、それならそれでいいかなァって……」
ママってこと……? いや、さすがにそれはちょっと倒錯しすぎじゃないですかね。
「何を作ってらっしゃるんですか?」
セレニアが、ベッドを降りてシーツを体に巻きつけながら釜戸のほうまでやってきた。
今日は久々にカロリースティック以外のものが食べられますよ。
「うっ……この肉、ひょっとして先日のミノタウロス属の肉ですか……?」
鍋の中身を確認し、ちょっと嫌そうな顔をしながらセレニアがこちらを見上げてくる。
むう。やはりセレニアも魔族とはいえ人型種属の肉を食べるのは抵抗があるのだろうか。
——と、そんな思いに駆られる俺の様子に何か感じるものでもあったのか、セレニアがハッとしたように表情を変える。
「……いえ、騎士さまが作ってくれたものであれば、ミノタウロス属の肉であろうとなんであろうと喜んでいただきます!」
ドンっと自分の胸を叩きながら、一転してものすごく良い笑顔のセレニアが言った。
少年漫画の主人公のような、決意を宿した真っ直ぐな目だった。
俺がヒロインだったら間違いなく一瞬で堕ちてたね。危ないところだったぜ。
『姫ちゃんチョイチョイ男前なんよな』
『実は王子さまキャラか?』
『解釈班いそげー!』
『地味にデス子とまったく同じこと言っててワロタ』
『お似合いだよ』
まあ、食べたらきっとおいしいはずだから!
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