第38話 申し出を受ける
ぼくは、短い時間ではあったものの、熟慮し、おじいちゃんの申し出を受けることを決めた。
そして、ぼくはおじいちゃんに、
「おじいさまの申し出、受けさせていただきたいと思います。まだ自信はあるとはいえませんが、受けるからには精一杯努力をして、ご期待に沿えるようにしていきたいと思います。ぼくでよろしければ、これからよろしくお願いします」
と言った。
言った後は、爽快感さえ感じていた。
おじいちゃんは、
「よく言ってくれた。では、夏休み後から動くことにしよう。ただ、本格的に動くのは、きみが小学校二年生になってからだ。そこから先は、今までのように遊ぶことは難しくなる。申し訳ないが、それは理解をしてほしい」
と言った。
つまり、小学校二年生以降は、今までのように、ぼくを入れた四人で遊ぶことは少なくなってしまうということだろう。
それに、他の三人は、もともと小学校二年生になった後は、お稽古事等をする予定になっていると聞いていた。
したがって、どちらにしても、遊ぶことが少なくなるのは仕方がないと思っている。
残りの小学校一年生の間も、今までよりも遊ぶ時間は減ると思う。
それでも小学校二年生以降よりは、遊べる時間が多いので、有意義にその時間を使って行きたいと思っていた。
しかし……。
ぼくにおじいちゃんの後継者が務まるのだろうか、という懸念が湧き出してくる。
いや、それ以前に、これから始まる英才教育に、ぼくは耐えることができるのだろうか、という懸念も湧き出してくる。
今までのぼくは、幼稚園や学校以外ではゲームに多くの時間を使ってきた。
それが二学期以降から制限されることになり、小学校二年生以降は、休日の一部の時間ぐらいしかできなくなるだろう。
おじいちゃんとおばあちゃんは、ゲームを禁止するような人ではない。
前世でも一切制限をすることはなかった。
でも、英才教育が始まれば、外からいちいち制限されなくても、自分でゲームの時間を制限するしかなくなってしまうだろう。
ぼくはそういう状況になっても、挫折しないで進んでいける自信は今のところまだない。
ぼくは、一度は受け入れたおじいちゃんの申し出を断りたくなってきた。
しかし、その動きはおばあちゃんが止めた。
おばあちゃんは、ぼくが断りの言葉を言う前に、
「定陸ちゃん、よく決断してくれたね。ありがとう」
と涙声で言って頭を下げた後、
「わたしはこれからあなたのことを精一杯サポートするわ」
と言ってくれた。
今までもおばあちゃんは、前世からぼくの為に一生懸命サポートをしてくれていた。
今世でもこれから精一杯サポートをしてくれると申し出てくれている。
ぼくは、おばあちゃんにこんなにも愛されているし、助けてもらっているのに、何も返すことができていないと改めて思っていた。
おばあちゃんの為にも、今度こそ、おじいちゃんの申し出を受けるしかないだろう。
ぼくは改めて決断し、
「おばあさま、ありがとうございます。ぼくは、改めておじいさまの申し出を受け入れます。おじいさまとおばあさまのご期待に沿うことができるような、おじいさまの後継者となるべく一生懸命努力していきたいと思います」
と言った。
ぼくはここで絶対に挫折することなく、おじいちゃんの後継者になることを心の中で誓うのだった。
「定陸くん、ありがとう。これから改めてよろしくお願いする」
「おじいさま、こちらこそよろしくお願いします」
ぼくはそう言った後、
「おじいさま、一つお願いがあるのですけど、よろいいでしょうか?」
「なんだね?」
「おじいさまとぼくは、前世で祖父と孫、そして、養父と養子の間柄でございましたが、そのことをお互いに認識することができました。そして、ぼくもおじいさまの近くで生きることができています」
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