第25話 三人の幼馴染
このまちにやってきた当時でも、既にぼくの実の両親は、「家庭内別居」状態だった。
しかし、外に出ると、「仲良し夫婦」のようにふるまっていた。
ぼくの両親がぼくを連れて、このおじいちゃんとおばあちゃんにあいさつをしに行った時も、「仲良し夫婦」としてふるまっていたのだった。
おばあちゃんは、初対面の時からぼくのことを気に入ってくれた。
そして、実の孫のようにかわいがってくれるようになり、
「定陸ちゃんが来たければ、いつでもここに来ていいよ」
と言ってくれた。
この時点でのぼくは前世のことを思い出してはいなかったので、二人に会うまでは、「遠い親戚の人」という認識だったのだが、二人、特におばあちゃんと会った途端。
「どこかで会ったことがある」
という思いと、
「懐かしい」
という思いが湧き出してきた。
ただ、
「どこで会ったのか?」
ということをこの時点では思い出すことはできず、
「なぜ懐かしく思ってしまうのか?」
ということも、この時点ではその理由を把握することはできなかった。
家にいても、両親が「家庭内別居」をしていて居心地は悪く、ぼくは進んでおばあちゃんの家に遊びにいくようになった。
おばあちゃんの家では、勉強をしたり、ゲーム機を持っていってゲームをプレイしたりした。
そして、おばあちゃんとのおしゃべりを楽しんだりしていた。
このおばあちゃんとのおしゃべりがなかなか為になるいいものだった。
ぼくの母親にとって、このおばあちゃんは、自分の祖母の姉の娘。
ぼくにとっては、ぼくの曾祖母の娘ということになる。
血筋的には遠いものの、ぼくや母親の親戚の一人だし、人格的にも優れている人なので、ぼくが遊びに行っても、母親としては安心できる。
そして、ぼくの母親は、自分の手間もはぶけるということで、ぼくがおばあちゃんの家に行くことを歓迎するようになっていたのだった。
そんな中、ぼくには、倉春伸時(くらはるのぶとき)ちゃん、細月(ほそづき)きぬなちゃん、陸島紗淑乃(りくしまさよの)ちゃん、という同い歳である三人の友達ができていた。
三人とも同じ幼稚園で同じ組。
伸時ちゃんは、このおじいさんの曽祖父の弟の子孫。
おばあちゃんとは血がつながっていないが、姓は一緒で、義理の遠い親戚ということなる。
ぼくとも義理の遠い親戚ということになるのだろう。
このまちで生まれて住み続けている伸時ちゃんは、以前からこのおじいさんとおばあさんと知り合いではあったものの、今までは特に遊びに行くことはなかったようだ。
ぼくと伸時ちゃんは意気投合し、仲良くなった。
そこで、ぼくは、おばあちゃんのところに伸時ちゃんを連れて行った。
すると、おばあちゃんは伸時ちゃんのことも気に入ったようで、
「これからも伸時ちゃんと一緒に遊びに来ても構わないわよ」
と言ってくれた。
それからは伸時ちゃんも時々おばあさんの家に行き、ぼくと一緒にゲームをして遊ぶようになった。
主にぼくたちが二人でプレイをしたのは。「かわいいキャラクターが多数登場するほのぼのとしたゲーム」とサッカーゲームだった。
サッカーが好きな伸時ちゃんにゲームでは、ほぼ勝てなかったものの、楽しい時間を過ごすことができていた。
ぼくたちは、おばあさんとのおしゃべりの中で、きぬなちゃんと紗淑乃ちゃんという友達がいるという話をしていたのだが、それを聞いたおばあさんが、
「きぬなちゃんと紗淑乃ちゃんも一緒に遊びに来ても構わないわよ」
と言ってくれたので、きぬなちゃんと紗淑乃ちゃんもおばあちゃんの家に時々来るようになり、一緒にゲームをして遊ぶようになった。
伸時ちゃんと二人でプレイする時は、サッカーゲームをしていたが、四人でプレイする時は、伸時ちゃんとも遊んでいた、「かわいいキャラクターが多数登場するほのぼのとしたゲーム」だった。
いつも笑顔の俺、そして、きぬなちゃんと紗淑乃ちゃん。
ぼくと二人きりだと笑うことがない紗淑乃ちゃんも微笑んでくれるという、楽しい時間を毎回四人で過ごすことができた。
きぬなちゃんは、明るく元気なかわいらしい少女。
この頃から伸時ちゃんのことが好きだったようで、いつも伸時ちゃんの隣の位置にいた。
ぼくは何となくではあるが、そんな伸時ちゃんのことをうらやましいと思う気持ちがあった。
ただ、伸時ちゃんは鈍感なのか、きぬなちゃんのその思いには気がついていなかったようだが、きぬなちゃんに話しかけることはもちろんだが、紗淑乃ちゃんやぼくにも話しかけてくるので、ぼくにとってはありがたい存在だった。
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