手
僕の家が世界だった
その頃の話をしよう
傷つけることが当たり前で
謝ることはその場しのぎで
ただゆるされたい毎日だった
楽しい時が傾いて
この身を小さくする
その一瞬の訪れを感じて
理由など分からないままで
また喜びは削り落とされて
あの人の嫌いなものばかりを
覚えて噛み砕いて吐くまで覚えた
僕はいつになっても
いい子に成れずに
だから願う
短く栄えた世界に
どうかこのまま
二度と戻れずにいてと
今日も願う
見知らぬ人でいさせてと
どうかこのまま
迷い道ではなく旅の果てで
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