第3話

呑気な声が掛かったのは、その時だった。



「あのー、どうされました?」



「「は?」」



二人の、いや、周囲にいた人全ての声が重なったのは無理も無いだろう。



声を掛けてきた男は、ひょろりと背の高いやせっぽっちだった。



こちらも帯刀している。



「いや、どうしたのかなって。何かあったんでしょ?」



場違いな言葉だが、おそらく彼の本心だ。



キョトンとした黒い目が、揉めていた二人を見つめている。



「こいつが俺にぶつかってきやがったんだよ、くそが!」



「あー、なるほど。それで、あなたが彼に喧嘩をふっかけちゃったんですね?」



「躾はきっちりしなきゃいけねえだろ。なぁ?兄ちゃんよ〜」



中年男はにやにやと笑いながら、やせっぽっちの肩を掴む。



あ、痛そう。



小柄な男は、皺のよったやせっぽっちの着物を見て、思わず顔をしかめた。

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