第6話

ゾーイが博士の部屋を出た後、博士はふと本棚の裏に隠れた彼女を見つけた。



「まだそんなところにいたの。」



「…あの子が来てましたから。」



本棚の影からそっと部屋を見渡して、ゾーイがいないことを確認してからその少女ーーー名前をノアと言うーーーは珈琲を持って出てきた。



「本当に嫌がるねぇ。君の妹みたいなものでしょうに。」



「妹なんかじゃありません。」



「ありゃ、これは失礼。」



ノアから受け取ったカップを口に運びながら、博士は楽しそうに笑う。



「若いねぇ。」



「まだ3歳ですもの。」



「そうだ、そうだったね。まだまだ幼い。」



むっと唇を尖らせる彼女を宥めるように、博士はポンポンと頭を撫でた。



「まあ、そのうちお話ししておやり。数少ない同族なんだから。」



うんとは言わないノアをもう一度撫でてから、博士は再び机にかじりついた。

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